【2025年】太陽光パネルの設置義務化はいつから?各自治体の取り組みや補助金制度

【2025年】太陽光パネルの設置義務化はいつから?各自治体の取り組みや補助金制度

地球温暖化対策とエネルギーの安定供給を目指し、近年では複数の自治体で太陽光パネル設置の義務化がスタートしています。2025年からは東京都で義務化が行われ、他の自治体を含めてこれから家を建てる人にとっては気になる動きといえるでしょう。

この記事では、東京都での太陽光パネルの設置義務化や、義務化に向けた各自治体の取り組みなどについて解説します。

設置義務化によって得られるメリット・デメリットについても解説するので、家づくりを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

【この記事でわかること】

●太陽光パネルの設置義務化による各自治体の取り組み

●太陽光パネルの設置義務化によって得られるメリット・デメリット

●義務化に伴う太陽光パネルの設置費用相場

●太陽光パネルの設置費用を抑えられる補助金・助成金制度一覧

【2025年4月】東京都で太陽光パネルの設置義務化が開始

東京都では、太陽光パネルの設置義務化が2025年4月1日から開始されました。はじめに、太陽光パネルの設置義務化が進んでいる理由や設置義務化の対象物件について解説します。

  • 太陽光パネルの設置義務化が進んでいるのはなぜ?
  • 太陽光パネルの設置義務化の対象物件は?

太陽光パネルの設置義務化が進んでいるのはなぜ?

東京都は、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減する「カーボンハーフ」を目指しており、その一環として再生可能エネルギーの導入を加速させるために導入しました。

さらに、2050年にはCO₂排出実質ゼロの「ゼロエミッション東京」を目指し、エネルギー消費量が多い都市である東京都において、再生可能エネルギーの導入を推進する必要があります。

※参考1:太陽光発電設置義務化に関する新たな制度が始まります|東京都

※参考2:ゼロエミッション東京|環境対策一般|東京都

太陽光パネルの設置義務化の対象物件は?

東京都で2025年4月1日から施行された、太陽光パネルの設置義務化の対象物件は、大手ハウスメーカーなどが供給する新築で延床面積2,000㎡未満の建物です。

なお、戸建て住宅や小規模な集合住宅(アパート・マンション)なども含まれ、既存の建物は対象になりません。

なかには、「面積が小さい」「北向き」など屋根の条件により設置しない建物もあります。

※参考1:太陽光パネルの設置を義務付ける制度が2025年4月から始まります|東京都

※参考2:太陽光発電設置義務化に関する新たな制度が始まります|東京都

太陽光パネルの設置義務化による各自治体の取り組み

太陽光パネルの設置を義務化している自治体は現時点で多くありません。しかし、東京都に続き、他の自治体でも同様の動きが広がってきており、今後増えていく可能性はあります。

ここでは、以下の自治体における太陽光パネル設置の取り組みについて解説します。

  • 神奈川県の取り組み
  • 静岡県の取り組み
  • 愛知県の取り組み
  • 岐阜県の取り組み
  • 群馬県の取り組み
  • 京都府の取り組み

神奈川県の取り組み

神奈川では、県内の主要都市である川崎市と横浜市において、それぞれ独自の取り組みを進めています。特に、川崎市では2025年4月1日から義務化が開始されました。

川崎市には、建築物の種類に応じた以下2種類の制度があります。

制度名

内容

義務対象者

特定建築事業者太陽光発電設備導入制度

新築住宅などで延床面積2,000㎡未満の建物への太陽光パネル等の設置

年間一定量以上新たに建てるハウスメーカーなど

特定建築物太陽光発電設備導入制度

新築等(増築または改築を含む)かつ床面積合計が2,000m2以上の建築物

建築主

※参考1:川崎市にお住まい・お引越しされる皆さまへのお知らせ|川崎市

※参考2:対象建築物・対象者|川崎市

川崎市は義務化を通じて、2030年までに温室効果ガスを50%削減(2013年度比)する目標達成を目指しています。

横浜市では、川崎市のような義務化制度は導入されていませんが、再生可能エネルギーの導入促進に向けた取り組みを進めているところです。市独自では、主に中小企業に対して太陽光発電導入支援助成金を用意しています。

ただし、神奈川県では住宅用太陽光発電・蓄電池導入費の補助金制度を実施しているので、県内の住宅用で太陽光発電と蓄電池を併せて導入する際の経費の一部を補助金として受けることが可能です。

※参考1:おトクに太陽光発電を取り入れてみませんか?|横浜市

※参考2:令和7年度神奈川県住宅用太陽光発電・蓄電池導入費補助金|神奈川県

静岡県の取り組み

静岡県では、東京都や川崎市のように新築の戸建て住宅などに対する太陽光パネル設置義務化は現時点(2025年7月)では行われていません。

しかし、静岡県内の多くの市町村では、太陽光パネルや蓄電池などの再生可能エネルギー設備の導入を促進するための補助金や、共同購入事業を実施しています。

「ふじのくに0円ソーラー事業」では住宅を建てる際に、初期費用ゼロで太陽光発電設備と蓄電池を導入できます。建物所有者は、初期費用を一切支払うことなく太陽光発電システムを導入できるのでお得です。

※参考:ふじのくに0円ソーラー事業|静岡県公式ホームページ

愛知県の取り組み

愛知県でも、新築戸建て住宅などに対して太陽光パネル設置義務化は、現時点(2025年7月)では実施されていません。

しかし、愛知県も国が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、「あいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)」を策定し、「2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減」という野心的な目標を掲げています。

そのため、太陽光発電の導入を推進しているといえるでしょう。

愛知県独自の補助金として「愛知県住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金(市町村との協調補助)」を実施しており、太陽光発電機器などの補助金を行っています。

※参考1:あいち地球温暖化防止戦略2030(改定版) ~カーボンニュートラルあいちの実現に向けて~|愛知県

※参考2:愛知県住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金(市町村との協調補助)|愛知県

岐阜県の取り組み

岐阜県でも、新築住宅への太陽光パネル設置の義務化は現時点で導入されていませんが、国が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、太陽光発電の導入を積極的に推進しています。

ただし、県としては住宅用太陽光発電設備や蓄電池に対する直接的な補助制度は設けていません。

岐阜県内の多くの市町村が独自の補助金制度を設けているので、それらを活用して太陽光発電設備の導入費用を抑えることが可能です。

※参考:岐阜県太陽光発電設備等設置費事業者補助金の募集について

京都府の取り組み

京都府は、太陽光パネルを含む再生可能エネルギーの導入を積極的に推進しており、延床面積300㎡以上2,000㎡未満の建物に対しても、再エネ設備の導入義務を新設しました。

義務化と並行して、家庭における蓄エネ設備導入支援事業で補助金を実施し、導入費用の一部を補助します。

京都市も独自に、住宅用太陽光発電・太陽熱利用設備等設置補助金などを実施しており、太陽光発電設備の導入を支援しています。

※参考1:京都府再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例|京都府

※参考2:家庭向け太陽光発電・蓄電設備補助金(令和7年度)|京都府

※参考3:京都市住宅用太陽光発電・太陽熱利用設備等設置補助金について|京都市

太陽光パネルの設置義務化によって得られるメリット・デメリット

近年、地球温暖化対策への関心の高まりから、日本各地の自治体で太陽光パネルの設置義務化の動きが見受けられます。

ここでは、太陽光パネルの設置義務化によって得られるメリット・デメリットを紹介します。

太陽光パネルを設置するメリット

太陽光パネルを設置する主なメリットとして、以下が挙げられます。

  • 電気代の削減(自家消費)につながる
  • 売電収入(FIT制度)を得られる
  • 停電時でも電気を利用できる
  • CO2排出量を削減できる

自宅で発電した電気を消費することで電力会社から購入する電気の量を減らせるので、電気代を抑えられるのがメリットです。自宅で使いきれなかった電力は、電力会社に売れるため、一定の収入を得られるでしょう。

停電時でも自家発電で電気が使えるため、災害に強いのもメリットです。太陽光発電は発電時にCO2を排出しないので、地球温暖化対策に貢献できます。

太陽光パネルを設置するデメリット

太陽光パネルを設置すると考えられるデメリットとして、以下が挙げられます。

  • 初期費用が高い傾向にある
  • 発電量が天候に左右される
  • メンテナンスとランニングコストの手間と費用がかかる
  • 設置できない住宅がある

太陽光パネル本体や工事費など初期費用が100万円単位になることが多く、回収までに時間がかかります。太陽光が必要なため、曇りや雨の日、夜間は発電量が大幅に減少するのもデメリットです。

定期的な点検や清掃が必要であり、交換時には高額な費用が発生します。屋根の面積や形状によっては十分な量のパネルを設置できない場合があります。

義務化に伴う太陽光パネルの設置費用相場

太陽光パネルの設置費用は容量やメーカー、設置方法などによって変動します。

ここでは、太陽光パネルの購入費用や設置費用について解説します。

太陽光パネルの購入費用

太陽光発電に必要な設備の相場価格表は以下のとおりです。

項目

3kWの場合

5kWの場合

ソーラーパネル

40.8万円

68万円

パワーコンディショナー

15万円

25万円

架台

8.4万円

14万円

その他の設備

0.6万円

1万円

工事費

25.2万円

42万円

合計

90万円

150万円

3kWの場合が90万円、5kWでは150万円程度が価格目安です。

太陽光パネルの設置費用

経済産業省のデータによると、2024年における住宅用の太陽光発電の設置費用は、新築の場合で1kWあたり平均28.6万円です。

太陽光発電の設置費用はソーラーパネルの容量で変動します。一般的な家庭では3〜5kWの太陽光発電が主流です。

3〜5kWの容量で比較した太陽光発電の設置費用の相場は、下表のとおりです。

容量

設置費用の相場

3kW

85.8万円

4kW

114.4万円

5kW

143万円

※参考:太陽光発電について(P38)|経済産業省

一般的な家庭で太陽光発電の設置をした場合の費用相場は、85.8万円〜143万円程度かかる見込みです。

太陽光パネルの設置費用を抑えられる補助金・助成金制度一覧

ここでは、太陽光パネルの設置費用を抑えられる以下の補助金・助成金制度について解説します。

  • 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業
  • 各自治体の補助金・助成金制度一覧

災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業

断熱・太陽光住宅普及拡大事業とは、省エネ性能が高く、太陽光発電を導入した住宅の普及を後押しするための事業です。

東京都では省エネ性に優れ、災害にも強く、健康にも良い影響を与える断熱・太陽光住宅の普及拡大を促進するため、高断熱窓・ドアへの改修や太陽光発電設備等の設置などに対して補助金を設けています。

地球にも家計にも優しい高性能な家づくりを応援する制度です。

※参考:災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業|家庭における対策|操作しないページ|東京都環境局

各自治体の補助金・助成金制度一覧

各自治体が提供している補助金・助成金制度の一覧は以下のとおりです。

エリア

補助金名

補助金額

東京都
※市区町村の補助金制度もあり

家庭における太陽光発電導入促進事業

・3.6kW以下の場合:12万円/kW (上限36万円)
・3.6kWを超える場合:10万円/kW (50kW未満)
※ただし、太陽光発電システムの助成対象経費の合計金額を上限とする

静岡県

住宅用太陽光発電設備等共同購入支援事業「みんなのおうちに太陽光」

ふじのくに0円ソーラー事業(初期費用ゼロ事業)

購入希望者をまとめて事業者と交渉し、割引価格での提供を可能にする事業

建物所有者が初期費用を負担することなく太陽光発電設備および蓄電池を設置できる

愛知県

住宅用地球温暖化対策設備導入促進補助金(半田市)など

家庭用エネルギー設備導入補助金(豊橋市)

一体的導入補助(約16〜約22万円)など

一体的導入(太陽光・HEMS・蓄電池)一件12万円など

岐阜県

太陽光発電設備等設置補助金(北方町)

太陽光発電設備:7万円/kW

※参考1:令和7年度 家庭における太陽光発電導入促進事業|クール・ネット東京 :東京都地球温暖化防止活動推進センター

※参考2:太陽光パネル・蓄電池をおトクに導入 | 静岡県 みんなのおうちに太陽光

※参考3:ふじのくに0円ソーラー事業|静岡県公式ホームページ

※参考4:家庭用エネルギー設備導入補助金|豊橋市

※参考5:住宅用地球温暖化対策設備導入促進補助金|半田市公式ウェブサイト

※参考6:太陽光発電設備等設置補助金(P2)|北方町

県と市区町村の補助金を併用できる場合もあるので、賢く活用しましょう。

太陽光パネルの設置義務化に関するよくある質問

最後に、太陽光パネルの設置義務化に関してよくある質問について回答します。

  • 太陽光パネルの設置義務化における問題点・課題点は?
  • 太陽光パネルの設置義務化を拒否するとどうなる?
  • 太陽光パネルの設置義務化によって住宅が受ける影響は?

太陽光パネルの設置義務化における問題点・課題点は?

太陽光パネルの設置義務化は、脱炭素社会の実現に向けた有効な施策です。

しかし、太陽光パネルや蓄電池の設置には多額の初期費用がかかるため、新築住宅の購入者や建築主が費用負担しなければならないのが大きな課題といえます。

補助金制度があるとはいえ、経済的に余裕のない人にとっては、住宅購入のハードルがさらに高まる可能性があります。

太陽光パネルの設置義務化を拒否するとどうなる?

一般的な住宅における太陽光パネルの設置義務化は、施主が直接的に罰則を受けるケースはほとんどなく、義務を負うのは主にハウスメーカーなどの事業者側です。

ただし、施主が太陽光パネルの設置を拒否した場合、自治体から指導や助言、公表などを受ける可能性があります。

太陽光パネルの設置義務化によって住宅が受ける影響は?

太陽光パネルの設置義務化により、住宅の購入価格が高くなることが考えられます。

太陽光パネルと関連機器の設置には多額の費用がかかるため、原則、住宅価格に上乗せされるでしょう。

ただし、住宅に太陽光パネルを設置することで、日中の電気代を大幅に削減できるメリットがあります。

太陽光パネルの設置義務化を踏まえて家づくりを進めよう

近年、東京都を始めとする複数の自治体で太陽光パネルの設置義務化がスタートしました。

義務化により、地球上の温室効果ガスの削減への貢献が期待できます。

初期費用はかかりますが、長期的な視点での光熱費削減や災害時の電力確保などの安心感があり、これからの住宅に不可欠な要素となるでしょう。

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