注文住宅の予算の決め方は?マイホームの費用相場や注意点も解説

注文住宅の予算の決め方は?マイホームの費用相場や注意点も解説

マイホームを建てる際に、最も問題になるのが「土地と建物を含めて総予算はいくらになるの?」ということでしょう。

夢が膨らむほどにかかる予算も大きくなるのが、万人に共通の大きな悩みであることは間違いありません。

本記事は、注文住宅でマイホームを建てる際に、失敗しない予算の決め方や自己資金とローンの取合いなどについて解説します。

【この記事でわかること】

● 注文住宅の予算で失敗しない4ステップ

● 注文住宅の費用相場

● 注文住宅の予算を決める際の注意点

注文住宅の予算の決め方4ステップ

ここでは、注文住宅の予算を決める際に失敗しないための4ステップを紹介します。

  • STEP1:捻出できる自己資金の額を決める
  • STEP2:住宅ローンの借入額とその際の月々返済額を見極める
  • STEP3:土地代と建築費のバランスを考える

それぞれ見ていきましょう。

STEP1:自己資金や頭金をいくら捻出できるか決める

まず、無理なく用意できる自己資金の額を見極めましょう。自己資金の対象となる減資としては、以下の2つを中心に考えましょう。

  1. 預貯金
  2. 両親・祖父母からの住宅取得資金贈与

<預貯金>

預貯金から、将来に向けての必要資金を引き算した残金の8割程度に抑えられれば理想的です。

将来に向けて備えておくべき主な資金は、以下の3つです。

  • 病気・不慮の事故・災害に備える費用:生活費6ヶ月〜1年分程度
  • 子どもの教育費用:主に大学進学費用の半額程度
  • 両親・自分の介護費用:介護施設入所費用の半額程度

以上のような資金(300〜400万円程度)を、預貯金総額から引き算した額の80%程度に抑えられれば理想的です。

仮に、1,000万円の預貯金がある場合は以下の金額を自己資金に充てられます。

(1,000万円−400万円)×0.8=480万円

預貯金は、夫婦合わせた金額でも問題ありません。

<両親・祖父母からの住宅取得資金贈与>

  • 耐震・省エネ・バリアフリー住宅:1,000万円
  • 上記以外の住宅:500万円

夫婦双方の両親もしくは祖父母から贈与されると、耐震や省エネ住宅の場合は最大2,000万円、それ以外の住宅でも1,000万円の贈与を非課税で受けられます。

この特例を受けるためには、申告が必要になります。

申告しない場合、500万円の贈与を受けた場合48万5,000円の贈与税を納税しなければならないので、忘れずに申告してください。

このように、自分の預貯金と親族からの贈与を含めて、どの程度の自己資金を用意できるかしっかりと見極めることが最初のステップです。

STEP2:住宅ローンの借入額や月々の返済額を確認する

用意できる自己資金が把握できたら、無理なく支払える月々のローン返済額をチェックしましょう。

注意点は、土地代金や建築見積額から自己資金を差し引き、残りを住宅ローンで賄う資金計画を立てる必要があることです。

自分、もしくは配偶者を加えた収入額から無理のない返済額を算出しましょう。

一般的に、無理のないローン返済額は年収の20〜25%程度であり、例えば年収500万円であれば、ローンに充てられる金額は100〜125万円となります。

これを月額返済額にすると、8万5,000円〜10万5,000円程度が目安です。

上記のように、月額返済額に見合った借入可能額を割り出しましょう。以下では、年収500万円と700万円の場合について、借入限度額を計算してみます(35年返済金利1%)。

年収 年間返済額 月額返済額 借入可能額
500万円 年収の20% 100万円 年収の20% 8万3,000円 2,940万円
500万円 年収の25% 125万円 年収の25% 10万4,000円 3,640万円
700万円 年収の20% 140万円 年収の20% 11万6,000円 4,100万円
700万円 年収の25% 175万円 年収の25% 14万5,800円 5,160万円

年収500万円の20%を返済に充てる場合、借入可能額は3,000万円程度であることがわかります。ここでは、STEP1と合わせて考えてみましょう。

  • 預貯金から:480万円
  • 両親等から:500万円
  • 借入額から:3,000万円

上記を踏まえると、合計で約4,000万円の建築予算総額が確保できます。上記を参考に、自身の用意できる自己資金や無理なく返済できる借入額を算出してみてください。

STEP3:土地代・建築費用のバランスを考えて計算する

算出した建築予算額を踏まえ、土地代・建築費用のバランスを考えてみましょう。

この作業によって、「土地探しの条件が絞れる」「建物の予算からグレード、選定するハウスメーカーを絞りやすくなる」などのメリットが得られます。

土地代と建築費用のバランスは、土地値の高い首都圏とそれ以外の地域に分けて考える必要があります。一般的に理想とされる土地代と建築費用の割合は、以下の通りです。

  • 首都圏:土地代40%、建物60%
  • その他:土地代30%、建物70%

上記の目安に沿って、具体的な土地やハウスメーカー探し方を見ていきましょう。

ここでは、住まいのエリアは首都圏以外と仮定します。さらに、STEP2までの作業で想定できる予算総額は4,000万円とします。

<土地の探し方>

予算4,000万円のうち、土地代に充てられる金額は1,600万円です。諸費用なども考えると、実質1,500万円クラスの土地を探すことになるでしょう。

  • 容積率100%の土地であれば、坪単価50万円で地積30坪程度の土地
  • 容積率150%の土地であれば、坪単価75万円で地積20坪程度の土地
  • 容積率200%の土地であれば、坪単価100万円で地積15坪程度の土地

実際には、用途地域や斜線制限、建ぺい率等によって建てられる面積は異なりますが、上記は土地探しの目安です。

容積率100%の場合、おおむね駅から15分程度の低層住居系エリアに絞られ、200%の場合は逆に第一種住居地域や近隣商業地域などの駅近エリアも視野に入るでしょう。

自分のライフスタイルや将来の資産性を考慮しながら、土地を選んでみてください。

<ハウスメーカーの選び方>

予算4,000万円のうち、建物に充てられる費用は2,800万円です。消費税や諸費用も踏まえると、純粋な建築費としては2,300万円程度となるでしょう。

  • 延床面積30坪の住宅であれば、建築坪単価76万円程度
  • 延床面積40坪の住宅であれば、建築坪単価58万円程度
  • 延床面積50坪の住宅であれば、建築坪単価46万円程度

上記のケースの場合、延床面積30坪程度であれば大手ハウスメーカーでの建築も可能ですが、40〜50坪の広さとなると予算オーバーしてしまいます。

自分が選んだ土地にどの程度の大きさの建物が建てるかの予測を立てた上で、ハウスメーカー、建築業者選びをしてみましょう。

もちろん、ローコストで展開している建築業者であれば、さらに延床面積を広くしたり設備をグレードアップしたりすることも可能です。

注文住宅の費用相場は?

ここでは、地域ごとに注文住宅の費用相場を見ておきましょう。

全国平均 東京都 神奈川県 静岡県 愛知県 岐阜県
土地・建物 4,397万円 6,110万円 5,170万円 4,308万円 4,834万円 3,871万円
土地費用 1,436万円 3,462万円 2,357万円 1,185万円 1,689万円 828万円
土地面積 219.1㎡
(66.2坪)
110.3㎡
(33.3坪)
140.5㎡
(42.5坪)
234.1㎡
(70.8坪)
192.7㎡
(58.3坪)
268.1㎡
(81.1坪)
土地坪単価 217,000円 1,040,000円 555,000円 167,000円 290,000円 102,000円
建物費用 2,961万円 2,648万円 2,813万円 3,123万円 3,145万円 3,043円
延床面積 111.1㎡
(33.6坪)
98.5㎡
(29.8坪)
104.7㎡
(31.6坪)
113.6㎡
(34.3坪)
115.4㎡
(34.9坪)
114.1㎡
(34.5坪)
建物坪単価 881,000円 889,000円 890,000円 915,000円 901,000円 882,000円

※参考:2020年度集計表|住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)

土地・建物を合わせた全国平均取得価格は、4,397万円となっています。

上記のデータより、建物建築費の坪単価はほとんど格差がないにもかかわらず、土地代金については、エリア間格差が非常に大きいことがわかりました。

特に、東京都の土地価格が傑出して高く、全国平均の約5倍、静岡県の約6倍、さらに岐阜県と比較した場合は約10倍にも及びます。

東京エリアにおいて土地付注文住宅を計画する場合は、地積30坪程度の物件を中心に物件を探すのが現実的といえるでしょう。

一方、静岡県や岐阜県においては予算4,000万円程度で、地積70〜80坪程度の土地に35坪程度の住宅を無理なく計画できるといえます。

注文住宅の予算を決める際の注意点

ここでは、注文住宅の予算を決める際の注意点について解説します。

  • 事前に住みたい家のイメージを具体的に描いておく
  • 住宅ローンの頭金を崩しすぎない

順番に見ていきましょう。

事前に住みたい家のイメージを具体的にしておく

予算を決める前に、住みたい家のイメージを具体化しておくことが大切です。

具体的な内容は、以下の通りです。

  • 間取り
  • 性能
  • 設備
  • デザイン

住みたいイメージを具体化する際は、各項目で実現したい要望を10項目程度ピックアップすることが重要です。例えば、間取りの場合は以下のようなイメージです。

  • 部屋はこども部屋を含めて4LDK
  • LDKは20畳以上
  • 2階へはリビング階段
  • キッチン・浴室・洗面室などの水回りは生活動線を最優先
  • 収納は床面積の20%以上

上記のように、要望をそれぞれのカテゴリーについてピックアップしていきます。その後、項目のなかから絶対に譲れない要望をしっかりと吟味した上で明確にしてください。

また、吟味した要望は、なるべく全てかなえるように計画しましょう。素人だけで判断するのは失敗する可能性が高いので、ハウスメーカーや建築業者に相談しながら進めてください。

どうしても予算オーバーしそうな場合のみ、優先順位の低い項目から削りましょう。

親身になってくれる業者であれば、予算内で代替品を探してくれたり、グレードを下げた設備の提案してくれたりします。

住宅ローンの頭金で貯金を崩しすぎない

住宅ローンの負担を少なくするために、預貯金を崩して自己資金に充てるのはなるべく避けましょう。

健康リスクや子どもの教育費、老後の介護費などを加味して、ある程度の預貯金は残しておくことをおすすめします。

できれば生活費1年分、少なくとも半年分程度の預貯金はストックしておきましょう。

注文住宅の予算の決め方に関するよくある質問

最後に、注文住宅の予算の決め方に関するよくある質問を紹介します。

  • 予算オーバーしたらどうすればいい?
  • 注文住宅の諸費用は物件価格の何パーセント?
  • 注文住宅の予算決めは誰に相談するべき?

順番に回答していきます。

予算オーバーしたらどうすればいい?

予算オーバーしたら、将来的に追加できる設備などを削り、当初決めた予算をキープしてください。

そのためには、採用したい設備などをピックアップし優先順位をつけておくことが重要です。

その際、新築時でなければ設置しづらいアイテムを優先し、反対に資金が貯まってから追加できる設備の優先度は低くしておくことをおすすめします。

一度予算オーバーしてしまうとブレーキが効かなくなり、収拾がつかなくなるおそれもあります。そのため、事前に優先順位をつけながら予算を残しておくことが重要です。

注文住宅の諸費用は物件価格の何パーセント?

注文住宅の諸費用は上限10%、通常は4〜7%程度です。基本的に諸費用は、ローンと別に現金で手当するのが原則であり、手持ち資金をチェックしておかなければなりません。

注文住宅の予算決めは誰に相談するべき?

自分の建てたい住宅のイメージや欲しいアイテムの優先度が具体的に決まったら、躊躇することなくハウスメーカーや建築業者に相談することをおすすめします。

なぜなら、設備などの代金を予算内に抑えるために代替品を探す作業は、実際に建築するハウスメーカーや建築業者にしかできないからです。

自分が決められる項目には限界があるので、悩んだ場合はすぐに相談しましょう。

予算をしっかりと決めて憧れのマイホームを建てよう

家づくりで後悔しないポイントは、無理のない予算決めをしっかり実施することです。

自分の預貯金や身内からの贈与、収入などから算出した無理のない返済計画を継続していくことで、成功する可能性は格段にアップするでしょう。

自分の収入や貯蓄が増えてきた時点で、欲しいものを追加したりリフォームしたりすれば、無理のない暮らしを実現できます。

TATTA!では、静岡県浜松市を中心に数多くの住宅プランを実現してきました。家づくりのプランだけでなく資金計画についても、お客様に寄り添いながら提案いたします。注文住宅を検討している人で予算の決め方にも不安が残る人は、ぜひTATTA!をご検討ください。

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