変動金利と固定金利はどっちがいい?住宅ローン金利の選び方を解説
この記事では、変動金利と固定金利はどちらがいいのか、比較しながら解説します。
住宅ローンを選ぶ際、多くの人が直面するのが変動金利・固定金利の選択肢です。それぞれにメリットやリスクがあるため、自分にあった商品を選ばないと将来の家計に大きな影響を与える可能性があります。
また、2024年7月に発表された日銀による政策金利の利上げのニュースを見て、変動金利と固定金利はどちらがいいのか、より迷ってしまう人もいるでしょう。
この記事では、変動金利と固定金利、それぞれに向いている人の特徴も解説します。住宅ローン金利でどちらのタイプを選べばよいか悩んでいる人はぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
【この記事でわかること】
● 変動金利と固定金利はどっちが得かシミュレーション
● 変動金利・固定金利がそれぞれ向いている人の特徴
● 住宅ローンの金利タイプを選ぶときのポイント
変動金利と固定金利の基礎知識
住宅ローンを選ぶ際、変動金利と固定金利のどちらを選ぶかは重要な決断です。
変動金利とは、市場金利の動向をベースとして定期的に金利が変動するタイプのことです。一般的に、金利は半年に1回のペースで見直されます。
固定金利とは、契約から一定の期間は金利が変動することがないタイプのことです。完済まで変動しない全期間固定のものもあれば、最初の5年間などの一部期間が固定のものもあります。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
金利タイプ |
メリット |
デメリット |
変動金利 |
● 初期金利は低い傾向がある ● 総返済額が減少する可能性がある |
● 金利上昇リスクがある ● 返済計画が立てにくい |
固定金利 |
● 金利上昇リスクがない ● 支払額が一定で返済計画が立てやすい |
● 初期金利が高い ● 市場金利が低下しても恩恵を受けられない |
- 変動金利のメリット・デメリット
- 固定金利のメリット・デメリット
詳しく解説します。
変動金利のメリット・デメリット
変動金利のメリットは以下のとおりです。
- 初期金利が低い
- 返済額が減少する可能性がある
変動金利は一般的に固定金利よりも低い金利からスタートすることが多いため、初期の返済負担が軽くなります。また、経済状況が変動して市場金利が下がる場合、連動してローンの金利も低下するケースがあります。その結果、毎月の返済額も減少するでしょう。
一方で、変動金利のデメリットは以下のとおりです。
- 金利上昇のリスクがある
- 返済計画が立てにくい
日銀の金融政策に伴って市場金利が上昇すると、ローンの金利も上昇します。毎月の返済額も増加し、将来的に返済が難しくなるリスクがあります。
将来的な金利の動向を予測するのは難しく、返済額の見通しが立ちにくい点は大きなデメリットです。
固定金利のメリット・デメリット
固定金利のメリットは以下のとおりです。
- 金利上昇リスクがない
- 支払額が一定で返済計画が立てやすい
固定金利では、借入時の金利が一定期間は変化しません。金利が上昇した場合でも、固定金利を選んでいれば影響を受けず、安心して返済を続けられます。毎月の返済額が一定で、長期的な返済計画が立てやすいのは大きなメリットといえます。
一方で、変動金利のデメリットは以下のとおりです。
- 初期金利が高い
- 市場金利が低下しても恩恵を受けられない
固定金利は変動金利よりも初期金利が高いことが一般的です。そのため、最初の返済負担が大きくなるおそれがあります。
また、市場金利が下がった場合でも、固定金利の契約者はその恩恵を受けられません。
変動金利と固定金利はどっちが得かシミュレーション
ここでは、変動金利と固定金利はどちらが得かシミュレーションします。ただし、どちらが得になるかは条件や実際の状況によって異なるため注意が必要です。
シミュレーションで使用する条件は以下のとおりです。
【条件】 ● 借入金額:3,000万円 ● 返済期間:35年 ● 返済方法:元利均等返済 ● 変動金利: ○ 1〜10年目:0.50% ○ 11〜20年目:1.50% ○ 21〜35年目:2.50% ● 固定金利:1.85% |
以下の順番に解説します。
- 月々の返済額のシミュレーション
- 総返済額と利息のシミュレーション
※参考:借入希望金額から返済額を計算:【フラット35】|住宅金融支援機構
それでは見ていきましょう。
月々の返済額のシミュレーション
変動金利と固定金利それぞれについて、月々の返済額のシミュレーション結果をまとめました。
【月々の返済額】
金利タイプ |
変動金利 |
固定金利 |
1〜10年目 |
7.8万円 |
9.8万円 |
11〜20年目 |
8.8万円 |
9.8万円 |
21〜35年目 |
9.5万円 |
9.8万円 |
上記のとおり、設定した条件の下では、いずれの期間でも月々の返済額は変動金利のほうが低い結果となりました。
総返済額と利息のシミュレーション
変動金利と固定金利それぞれについて、総返済額と利息のシミュレーションをまとめました。
金利タイプ |
変動金利 |
固定金利 |
総返済額 |
3,687万円 |
4,078 万円 |
利息合計 |
687万円 |
1,078万円 |
上記のとおり、設定した条件下では、返済負担は変動金利のほうが低い結果となりました。
ただし、変動金利の当初10年間の金利が条件より高い場合や、市場金利の上昇の影響が大きい場合は、変動金利のほうが返済負担が重くなるケースもあるため注意が必要です。
変動金利・固定金利がそれぞれ向いている人の特徴
ここでは、変動金利・固定金利がそれぞれ向いている人について、解説します。
- 変動金利が向いている人
- 全期間固定金利が向いている人
- 固定金利期間選択型が向いている人
順番に見ていきましょう。
変動金利が向いている人
変動金利が向いている人の特徴として、主に以下が挙げられます。
- 将来の金利上昇リスクを許容できる人
- 短期間での完済を目指している人
変動金利は金利が低く設定される傾向があるため、初期の返済負担が軽くなります。ただし、将来的に金利が上昇した際に返済額が増えるリスクがあります。金利の上昇時にも家計に余裕がある人には向いているでしょう。
また、例えば10年以内に繰り上げ完済を予定している人など、短期間で完済する予定のある人は変動金利が向いているでしょう。短期的な金利変動のリスクには注意が必要ですが、低金利の恩恵を受けやすいのは大きな魅力です。
全期間固定金利が向いている人
全期間固定金利が向いている人の特徴は以下のとおりです。
- 将来の返済計画を安定させたい人
- 長期的な借入れを検討している人
全期間固定金利は、借入期間中は金利が一定です。将来、市場金利が変化しても毎月の返済額が変わらないため、計画的に返済を進めたい人に向いています。
また、20年・30年といった長期のローンを組む場合、金利が固定されていることで安心感があります。特に、定年後までの返済を計画している人には、定年後の収入が減少することを見越して返済額を一定にしておきたい人も少なくありません。
返済額が変化してほしくない場合に全期間固定金利は選ばれる傾向があります。
固定金利期間選択型が向いている人
固定金利期間選択型が向いている人として、主に以下が挙げられます。
- 中期的な金利安定を重視する人
- 将来の見通しに応じた金利設定を希望する人
固定金利期間選択型は、一定期間(例えば10年)のみ金利を固定し、その後は変動金利に移行するタイプです。金利が安定している期間を選びたい人や、その後の金利変動にも柔軟に対応したい人に向いています。
また、子どもの進学など、今後ライフイベントが想定されていて、そのタイミングに合わせて金利を見直したい人にも固定金利期間選択型は適しています。
住宅ローンの金利タイプを選ぶときのポイント
住宅ローンの金利タイプを選択する際は以下のポイントを押さえておきましょう。
- 優遇幅が大きいときに借入れする
- 金利政策の見通しをチェックする
- 経済状況によっては借り換えを検討する
順番に解説します。
優遇幅が大きいときに借入れする
銀行が提供する住宅ローンには、優遇金利と呼ばれる割引が適用されることがあります。通常の金利(基準金利)よりも低い金利で借入れできるため、優遇幅が大きいときに借入れすることをおすすめします。
特に、変動金利を選ぶ場合、優遇幅が大きいほど、初期の返済額を抑えることが可能です。
多くの銀行では、特定の期間に限り優遇金利を拡大するキャンペーンを行っています。優遇期間を利用してローンを組むことで、通常よりもお得な条件で借入れできます。
金利政策の見通しをチェックする
住宅ローン金利は、日本銀行の金融政策に大きく影響されます。特に、日銀が行う金利政策は、将来の金利動向を予測する上で重要な指標です。
金利政策の見通しをしっかりと確認してから、金利タイプを選択することをおすすめします。
日銀が金利を引き上げる方針を示した場合、将来的にローン金利が上昇する可能性が高くなります。反対に日銀が低金利政策を維持する姿勢を示している場合、変動金利の恩恵を受けやすい時期といえます。
2024年7月31日の金融政策決定会合で、日銀は政策金利を0.25%程度に引き上げることを決めました。これに伴い、さまざまな銀行で基準金利を引き上げる動きが出てきています。
今後の経済状況によっては、日銀の利上げ、住宅ローンの基準金利の上昇がさらに起こる可能性もあります。そのため、今後の金利政策の見通しに注意が必要です。
※参考:日銀 追加利上げを決定 政策金利を0.25%程度に引き上げ 植田総裁会見詳細も|NHK
経済状況によっては借り換えを検討する
経済状況が変わったり、金利が大幅に変動したりした場合、借り換えを検討することが有効です。より有利な金利条件で再度借入を行えます。
例えば、現在の基準金利が契約当初よりも大幅に低下している場合、固定金利から変動金利へ借り換えることで、返済負担を軽減できる可能性があります。
ただし、借り換えには手数料などの費用がかかるため、その費用と得られるメリットをしっかり比較することが大切です。
変動金利・固定金利に関するよくある質問
ここでは、変動金利・固定金利に関するよくある質問に回答します。
- 2024年以降に変動金利が一気に上がるって本当?
- 変動金利と固定金利を選ぶ人はどっちが多い?
- 変動金利と固定金利は結局どっちを選ぶべき?
疑問の解消にお役立てください。
2024年以降に変動金利が一気に上がるって本当?
2024年以降に変動金利が一気に上がるかどうかは明確ではありません。なぜなら、金利が上昇するかどうかは、経済状況や日本銀行の金融政策に大きく左右されるからです。
例えば、インフレ率の上昇や経済成長が進むと、金利が引き上げられる可能性があります。日銀がインフレを抑えるために政策金利を引き上げた場合、変動金利もそれに応じて上昇する可能性があるでしょう。
日銀の金利政策や日本の経済動向には注意を払いましょう。
変動金利と固定金利を選ぶ人はどっちが多い?
住宅ローンを選ぶ際に、変動金利を選ぶ人の割合が比較的高い傾向にあります。
フラット35を提供している住宅金融支援機構の調査によると、それぞれの金利タイプを選ぶ人の割合は以下のとおりでした。
|
2022年4月 |
2023年4月 |
2024年4月 |
変動金利 |
73.9% |
72.3% |
76.9% |
固定金利期間選択型 |
17.3% |
18.3% |
15.1% |
全期間固定金利 |
8.9% |
9.3% |
8.0% |
表のとおり、変動金利を利用する人は70%以上でした。変動金利が固定金利よりも低い状態でスタートすることが多く、初期の返済負担を軽減したい人が多いことが理由の1つです。
変動金利と固定金利は結局どっちを選ぶべき?
変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきかは、それぞれの人の状況やリスク許容度によって異なります。前述したとおり、どちらが向いているかを把握することが必要です。
一般的には、短期間での完済を目指している場合や、金利が低いうちにリスクを取ってでも返済を軽減したい場合は変動金利が向いています。
一方、長期間にわたる安定した返済を希望する場合や、将来的な金利上昇が不安な場合は固定金利が適しています。
変動金利と固定金利はそれぞれの特徴を理解した上で、自分に合ったほうを選択しましょう。
変動金利・固定金利の選択は時代の変化を意識しよう
住宅ローンを選ぶ際には、変動金利と固定金利のどちらが自分に合っているか、経済状況の変化を慎重に検討することが重要です。
変動金利は初期金利が低く、短期間での完済やリスクを取れる人に向いています。一方、全期間固定金利は、長期的な安定を求める人や金利上昇を避けたい人に適しているでしょう。
また、今後の金利は、日銀の金利政策や日本の経済動向によって変動することが予想されます。時代の変化も見据えつつ、変動金利と固定金利のどちらが良いか慎重に比較検討しましょう。
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