新築住宅でも湿気は多い?家の湿気がひどい原因や対策を徹底解説

新築住宅でも湿気は多い?家の湿気がひどい原因や対策を徹底解説

この記事では、新築住宅で湿気が多い原因や対策などを解説します。

「新築なのに湿気が多いのはなぜ?」と疑問を感じている人は少なくありません。実は、新築住宅であっても湿気が多くなることは珍しくなく、構造や素材、換気の状態などのさまざまな要因が関係しています。

放置しておくと、カビの発生や建材の劣化、健康被害の原因になることもあるため、早めの対処が重要です。

この記事では、新築住宅でも湿気がひどくなる具体的な原因、自分でできる対策方法、家づくりの段階で意識しておきたいポイントまで徹底的に解説します。

湿気に悩まされず、快適な暮らしを実現するための知識として、ぜひ参考にしてください。

【この記事でわかること】

● 新築住宅で湿気がひどい主な原因

● 自分でできる新築住宅の湿気対策4選

● 新築住宅を検討するときの湿気対策3選

新築住宅でも湿気は多いの?

結論として、新築住宅においても湿気は多い場合があります。これは、住宅構造をはじめ、湿気がこもりやすい時期や場所など、さまざまな要因が関係しています。

ここでは、湿気に関して以下の観点から解説します。

  • 湿気がこもりやすい時期は?
  • 湿気がこもりやすい場所は?
  • 湿気が多いのはいつまで続く?

湿気がこもりやすい時期は?

新築や既存の住宅で湿気がこもりやすい時期は、温度が上がって雨が降りやすい梅雨の時期です。具体的には、5月末〜7月初旬・中旬が目安として挙げられます。

雨が降ることで換気が不十分になりやすく、洗濯物を室内に干す機会が多くなるため湿気がこもりやすくなるでしょう。

湿気がこもりやすい場所は?

新築住宅に限りませんが、湿気がこもりやすい場所として以下が挙げられます。

場所

原因

クローゼットや押し入れ

寝汗が布団などに蒸発して湿気が発生

キッチンや洗面所などの水回り

水蒸気などで常に湿気が発生

窓周辺

結露によって湿気が発生

玄関や靴入れ

玄関ドア周辺の結露、染み込んだ汗などによって湿気が発生

寝汗や結露などが蓄積することで湿気が発生する原因にもなるため、こまめに換気や除湿をして対策することが非常に重要です。

湿気が多いのはいつまで続く?

新築住宅の湿気が気になる期間は、おおよそ半年から1年程度とされています。理由として、建築に使われた木材やコンクリートが完全に乾燥するまでに時間がかかる点が挙げられます。

特に、コンクリートに含まれる水分は非常に多く、JASS5(鉄筋コンクリート工事標準仕様書)でも、完全乾燥には時間を要するとされています。

季節や地域によっても異なりますが、梅雨や冬場は乾燥が進みにくく、湿気がこもりやすい傾向にあります。入居後の生活により発生する水蒸気も加わるため、湿気を感じる期間が長引くこともあるでしょう。

ただし、換気や除湿を適切に行えば、湿度の影響を軽減することは可能です。こまめな対策で、湿気による不快感や劣化を防ぎましょう。

※参考:「建築工事標準仕様書・同解説 JASS 5 鉄筋コンクリート工事」の改定概要|日本建築学会

新築住宅で湿気がひどい主な原因

新築住宅で湿気がひどいといわれる主な原因を、以下の順で解説します。

  • 住宅構造や素材によるもの
  • 周辺環境によるもの
  • コンクリートの水分量によるもの
  • 住宅の換気機能によるもの
  • ライフスタイルによるもの

住宅構造や素材によるもの

新築住宅で湿気がひどいといわれる主な原因として、住宅構造や素材によるものが挙げられます。

特に、高気密・高断熱仕様の家では外気との通気が少ないため、室内に湿気がこもりやすくなる傾向にあります。床・壁・天井などに使用される木材や石膏ボードにおいても、断熱材には施工時に一定の水分が含まれており、これが室内の湿度を一時的に高める要因となるでしょう。

これらの素材が完全に乾燥するには数ヶ月かかることもあるため、入居初期には湿度管理を意識する必要があります。

構造的な特徴を理解したうえで、早めの換気や除湿を心がけることが快適な住環境を保つコツです。

周辺環境によるもの

新築住宅の湿気がひどく感じられる原因として、建物の立地や周辺環境の影響もあります。

住宅が建つ場所の気候や地盤の性質、近隣の植栽や建物の密集具合などが、湿度の滞留や通気性に直接影響を与えます。たとえば、山間部や川の近く、低地などは地面からの水分が上がりやすく、常に湿度が高くなるでしょう。

また、隣家との距離が近い場合は風通しが悪く、日当たりも不十分となり、湿気がこもりやすくなります。

このように、周囲の自然環境や建物配置によっても湿気は大きく左右されるため、家づくりの段階で土地選びや方角、風通しを意識することが将来の快適な住環境につながります。

コンクリートの水分量によるもの

新築住宅に使用されるコンクリートには、施工時に多くの水分が含まれています。この水分が完全に乾燥・蒸発するまでに数ヶ月以上かかるため、その間は室内の湿度が上昇しやすい状態になります。

特にベタ基礎構造の住宅では、床下にコンクリートが広範囲にわたって施工されるため、内部にこもった水分が室内にも影響を与えることがあるでしょう。

日本建築学会の基準(JASS 5)でも、コンクリートの乾燥には十分な換気と時間が必要であることが示されています。入居直後の数ヶ月間は、窓開けや換気システムの活用、除湿機の併用などで湿度を管理することが望ましいです。

※参考:「建築工事標準仕様書・同解説 JASS 5 鉄筋コンクリート工事」の改定概要|日本建築学会

住宅の換気機能によるもの

湿気対策において換気は非常に重要で、機能が不十分な場合には湿気がこもる原因になります。

特に気密性の高い住宅では自然換気が起こりにくく、湿気や空気が滞留しやすくなる傾向にあります。設計段階で24時間換気システムが導入されていない場合や換気口がふさがっていると、空気の流れが止まり、カビや結露が発生しやすくなるでしょう。

換気扇の位置や風の流れも重要で、効率的に空気を入れ替える設計になっていなければ、湿気が一部に集中してしまうおそれもあります。

適切な換気機能の整備と日常的な換気の習慣化が、湿度をコントロールするカギです。

ライフスタイルによるもの

家族の生活スタイルも、湿気の発生量に大きく関係しています。

たとえば、以下のようなケースでは、日常生活の中で多くの水蒸気を発生させる要因となります。

  • 洗濯物の室内干し
  • 頻繁な調理
  • 長時間の入浴
  • 加湿器の使用

特に、室内干しや密閉空間での加湿は、短時間で室内湿度を急上昇させ、窓や壁に結露を引き起こしやすくします。

また、入浴後に浴室の換気が不十分なままドアを開放すると、浴室の湿気が居住空間に広がることもあるでしょう。

こうした習慣が積み重なると、建材の劣化やカビの繁殖につながる可能性があるため、湿度を意識したライフスタイルの工夫が求められます。

自分でできる新築住宅の湿気対策4選

ここでは、自分でできる新築住宅の湿気対策4選を紹介します。

  • 家具の隙間を空けておく
  • 定期的に結露を取り除く
  • 除湿機を使用する
  • 除湿剤を使用する
  • 玄関周りに新聞紙を敷く
  • サーキュレーターやエアコンを使用する

家具の隙間を空けておく

家具を壁にぴったりと付けて配置すると、空気が循環せず湿気がこもりやすくなります。

そのため、壁から数センチ離して家具を設置することで、空気の通り道が確保され、結露やカビの発生を防げるでしょう。

特に大型のタンスや本棚、ベッドなどは背面に湿気がたまりやすいため、最低でも5cm程度の隙間を設けると安心です。

さらに、湿気のこもりやすい北側の部屋では、家具の配置により一層の配慮が必要です。わずかなスペースでも通気性が確保されるだけで、湿気の滞留を大幅に抑えることが可能です。

定期的に結露を取り除く

結露は湿気が高い状態を示すサインであり、放置するとカビや腐食の原因になります。そのため、窓ガラスやサッシに水滴がついている場合は、こまめに拭き取ることが重要です。

特に、冬場や梅雨時期は温度差により結露が生じやすいため、毎朝の拭き取りを習慣化すると効果的です。結露防止シートや断熱フィルムを活用することで、ガラス面の温度差を和らげ、結露の発生そのものを抑えることもできるでしょう。

定期的に結露を取り除くことは、見た目の清潔感を保つだけでなく、家の寿命を守るうえでも非常に大切な習慣です。

除湿機を使用する

湿度が高く感じる部屋には、除湿機の活用が非常に有効です。

除湿機は空気中の水分を取り除くことで、短時間で湿度を下げ、カビや結露の発生リスクを抑えられます。特に、風通しの悪い脱衣所や北側の寝室、収納スペースなどは湿気がたまりやすいため、重点的に除湿することで住環境が大きく改善されるでしょう。

また、湿度計と併用すれば湿度が60%を超えたときに稼働させるなどの効率的な運転管理も可能です。

一定の電気代はかかりますが、快適な空気環境を保つためには非常にコストパフォーマンスの高い手段といえます。

除湿剤を使用する

クローゼットや押し入れ、下駄箱などの狭い空間では、除湿剤の使用が効果的です。

市販の除湿剤はコンパクトで使い勝手が良く、湿気を吸収して水として溜めるタイプや、乾燥剤として再利用できるタイプなど種類も豊富です。

定期的に交換しながら使うことで、狭い空間の湿度管理が手軽に行えます。電気を使わないため省エネ性にも優れており、併用することで他の除湿対策の効果も高まるでしょう。

玄関周りに新聞紙を敷く

玄関は、特に雨の日や湿度の高い季節に靴底からの水分や地面からの湿気が床に残り、カビやにおいの原因となることがあります。

玄関マットの下などに新聞紙を敷いておくと、新聞紙が水分を吸収して湿気を軽減してくれます。手軽で経済的な方法であり、使い捨てができるため衛生的です。

湿気が気になる季節には、こまめに新聞紙を交換することで清潔さと快適さを保てるでしょう。

サーキュレーターやエアコンを使用する

湿気対策の重要部分として、サーキュレーターやエアコンを使用することが挙げられます。

サーキュレーターを使って空気を動かすことで、部屋の中の温度と湿度を均一に保ち、湿気が一部にたまるのを防げます。特に、洗濯物を室内で干す際や、窓を開けられない雨の日などには効果的です。

また、エアコンの除湿モードを活用すれば、温度調整と同時に湿度管理もできるため、夏場の湿気対策に役立つでしょう。

これらの機器を適切に併用することで、日常的に快適な湿度環境を維持しやすくなります。

新築住宅を検討するときの湿気対策3選

ここでは、新築住宅を検討するときやリフォームでできる湿気対策3選を紹介します。

  • 調湿機能のある壁材・天井材を選ぶ
  • 結露が発生しにくい窓を選ぶ
  • 24時間換気システムの導入を検討する

調湿機能のある壁材・天井材を選ぶ

新築住宅を検討する際は、調湿機能を備えた建材の導入を検討することが有効です。

調湿建材とは、室内の湿度が高いときは水分を吸収し、乾燥しているときは放出する性質を持つ素材で、珪藻土やエコカラット、無垢材などが代表的です。これらを壁や天井に使用することで、室内の湿度を自然にコントロールし、カビや結露の発生を抑えられるでしょう。

また、調湿建材はにおいの吸着効果もあるため、室内空気の快適性を高める点でもメリットがあります。デザイン性も高いため、湿気対策とインテリア性の両立が可能です。

結露が発生しにくい窓を選ぶ

結露の発生を抑えるには、窓の性能にも注目することが重要です。

一般的な単板ガラスよりも、複層ガラスや樹脂サッシを採用した窓は断熱性・気密性が高く、室内外の温度差を緩和するため結露が起きにくくなります。特に、Low-E複層ガラスは断熱性に優れており、冬の暖房効率を高めながら結露防止にもつながるでしょう。

サッシ部分もアルミより、樹脂やアルミ樹脂複合のほうが断熱性が高く、快適な室内環境を維持しやすくなります。

初期コストは上がりますが、長期的な快適性や住宅寿命を考慮すると有効な選択肢です。

24時間換気システムの導入を検討する

新築住宅の湿気対策として最も効果的なのが、24時間換気システムの導入です。

このシステムは建築基準法でも設置が義務づけられており、室内の空気を強制的に循環させることで、湿気や汚染物質を排出し、カビや結露の予防につながります。

24時間換気システムは、主に以下3種類の換気方法があります。

種類

特徴

第1種換気

排気と給気は共に換気扇。より確実な換気が可能で、空気の流れを制御可能。戸建て住宅・集合住宅ともに使用される傾向にある。

第2種換気

排気は自然排気で吸気は換気扇。気密性能によっては湿気が壁内へ侵入し、結露が懸念されるため、気密性能の確保を図ることが大切になる。

第3種換気

排気は換気扇で吸気は自然給気。低コストで計画的に換気が可能。気密性が低い住宅では計画換気ができないため注意が必要になる。

※参考1: 建築物における 効率的な換気の促進に関する取組事例集(P18)|国土交通省

24時間換気システムは建築基準法でも設置が義務づけられているので、特徴を把握しつつプロに相談することをおすすめします。

新築住宅でできる湿気対策を知り生活を快適にしよう

新築住宅でも湿気が発生するのは自然な現象ですが、放置すれば快適性の低下や建材の劣化、健康被害の原因になるおそれがあります。

湿気の原因を適切に理解し、日常生活でできる対策や家づくり段階での工夫を取り入れることが大切です。家具の配置や除湿器の使用などの身近な方法に加え、調湿建材や24時間換気システムなどの住宅設備を選ぶことで、湿度コントロールがより効果的になるでしょう。

また、家族の生活習慣も見直すことで、さらに改善が期待できます。湿気対策は一度きりではなく、暮らし方に応じて調整していくものです。

正しい知識と対策を取り入れて、長く快適に暮らせる住環境を整えていきましょう。

TATTA!では、湿気対策も取り入れた住宅プランもご提案いたします。お客様に寄り添いながら、資金計画も踏まえて最適なプランをご提案いたしますので、ぜひご相談ください。

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