住宅ローンの選び方まとめ|種類や金利タイプ・諸費用などから比較
この記事では、住宅ローンの選び方について詳細に解説していきます。
2022年度に行われた国土交通省の『住宅ローン利用者の実態調査』によると、注文住宅取得世帯の78.6%、分譲住宅取得世帯の70.9%と多くの人が住宅ローンを利用しています。実際に申し込みをする段階では知らないことが多く、悩んでしまうことも少なくありません。
どの住宅ローンを選べば良いのか、判断に迷って決められない人も多くいます。
この記事では、住宅ローンの選び方について、種類や金利タイプ、諸費用などを比較しながら解説します。自分に合った住宅ローンの選び方を知りたい人はぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
● 住宅ローンの選び方1:種類
● 住宅ローンの選び方2:金利タイプ
● 住宅ローンの選び方3:諸費用
● 住宅ローンの選び方4:団体信用生命保険の内容
● 住宅ローンの選び方5:返済方法
住宅ローンの選び方1.種類
ここでは、住宅ローンの種類について解説します。住宅ローンは借入先によって、以下の3つに分類されます。
- 公的ローン
- 民間ローン
- フラット35
それぞれ見ていきましょう。
公的ローン
公的ローンとは、財形貯蓄をしている人向けに、住宅金融支援機構が提供している財形住宅融資のことです。
金利が当初5年間固定、融資手数料無料、子育て世帯優遇金利措置(特例措置期間有り)などの特徴があります。勤務先で財形貯蓄をしている人が公的ローンの対象者に当てはまります。
ただし、申し込みには以下の条件があるため注意しましょう。
- 財形貯蓄(一般財形貯蓄・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄いずれも可)を1年以上継続
- 申込日における財形貯蓄残高が50万円以上
- 勤務先から負担軽減措置などの住宅援助措置を受けることが可能
団体信用生命保険に加入しなくても融資可能な点も特徴の1つです。
民間ローン
民間ローンとは、民間の金融機関がそれぞれ独自に提供している住宅ローンのことです。大きく都市銀行・地方銀行・ネット系銀行の3つに分類されます。
それぞれの特徴は以下の表の通りです。
種類 |
特徴とポイント |
都市銀行 |
● 全国展開で窓口対応あり ● 審査が比較的厳しい ● 金利は平均的 |
地方銀行(信用金庫) |
● 地元密着で窓口対応あり ● 都市銀行よりも審査は諸事情を勘案してくれる可能性あり ● 都市銀行・ネット系銀行よりも金利は高めの傾向 |
ネット系銀行 |
● 基本的に窓口はなくWeb・電話対応 ● 都市銀行・地方銀行に比べて金利は低め ● インターネットに慣れている人向け |
それぞれに特徴があるため、窓口対応の有無や審査の厳しさ、金利の高低の好みに応じて銀行を選びましょう。
フラット35
『フラット35』とは、住宅金融支援機構が提供する全期間固定型の住宅ローンのことです。
全国の都市銀行・地方銀行(信用金庫)などの窓口で取扱可能であり、全期間固定金利が前提であるため、金利の見直しがない点が大きな特徴といえます。
また、財形住宅融資と同じく、団体信用生命保険に加入できなくても融資を受けられる可能性があります。
※参考:フラット35丨住宅金融支援機構
住宅ローンの選び方2.金利タイプ
ここでは、住宅ローンを金利タイプごとに解説します。
住宅ローンは金利タイプ別に、以下の3つに分類されます。
- 変動金利型
- 全期間固定金利型
- 固定金利選択型
それぞれの特徴を見ていきましょう。
変動金利型
変動金利型の主な特徴は以下の通りです。
- 金利は固定金利に比べて5〜1.5%程度低め
- 半年に1回程度の金利見直しがある(見直しにより金利が上がる可能性がある)
- ほとんどの金融機関が借入期間中でも固定金利に変更可能
例として、三菱UFJ銀行における2024年3月時点の変動金利を見てみましょう。
変動金利タイプ |
ずっと一律優遇コース |
金利 |
年0.345〜0.475% ※完済まで店頭表示金利より、一律で年▲2.0〜2.13% |
※2024年3月時点
※参考:住宅ローン金利丨三菱UFJ銀行
検討している銀行の金利変動を比べながら、住宅ローンを選びましょう。
全期間固定金利
全期間固定型の特徴は、主に以下の通りです。
- 金利は変動金利・期間選択型固定金利より高め
- 借入時の適用利率が借入期限まで適用される
- 借入期間中の金利見直し・変更なし
- 借入期間中に変動金利や別の固定金利商品に変更不可
ここで、2024年3月時点のフラット35、および三菱UFJ銀行における全期間固定金利例を見てみましょう。
フラット35(団信加入) |
三菱UFJ銀行(団信加入) |
|
期間と金利 |
● 15~20年:1.36% ● 21〜35年:1.84% |
● 21〜25年:1.63〜1.76% ● 26〜30年:1.72〜1.85% ● 31〜35年:1.78〜1.91% |
※2024年3月時点
※参考1:フラット35
※参考2:住宅ローン金利丨三菱UFJ銀行
このように、金融機関によって返済期間の区分や金利が異なるため、比較してから決めることが大切です。
固定金利期間選択型
固定金利期間選択型の特徴は以下の通りです。
- 金利は変動金利より高め
- 固定期間中は変動金利や別の固定金利商品に変更不可
- 固定期間によって適用金利が変わる
2024年3月時点の、三菱UFJ銀行における固定金利期間選択型金利例を見てみましょう。
金融機関 |
● 三菱UFJ銀行(団信加入) |
期間と金利 |
● 固定3年:0.74〜0.87% ● 固定10年:0.98〜1.11% ● 固定20年:1.89〜2.02% |
※2024年3月時点
※参考:住宅ローン金利丨三菱UFJ銀行
住宅ローンの選び方3.諸費用
住宅ローンを選ぶ際は、物件以外に必要となる諸費用にも注意する必要があります。ローンの種類や金融機関によって、必要な諸費用の内容が異なる場合があるためです。
諸費用の目安は、概ね借入額の5〜10%程度と認識しておきましょう。住宅ローン契約時に必要になる主な諸経費には以下6点があります。
- ローン保証料
- 登記費用
- 印紙税
- 繰り上げ返済手数料
- 保証会社事務取扱手数料
- 融資手数料
1つずつ確認しましょう。
保証料
ローン保証会社と委託契約する際に発生する手数料です。以下3つのポイントを押さえておきましょう。
- 借入額の2%程度がかかる
- 別途2%支払う外枠式と保証料分金利に上乗せする内枠式がある
- 保証料無しとなっていても後述の事務手数料に上乗せされていることが多い
外枠式か内枠式のどちらにするかは、自分の生活スタイルに合わせて決めて構いません。
登記費用
新築の場合にかかる登記費用は以下の通りです。
- 表示登記:土地家屋調査士報酬
- 所有権保存登記:司法書士報酬
- 抵当権設定登記:司法書士報酬
- 登録免許税
中古物件を購入する際は表示登記の必要はありませんが、所有権移転登記や抵当権設定登記費用、登録免許税がかかります。
全ての金融機関や住宅ローン商品で発生するため、住宅ローンを利用する場合は必ず登記しなければなりません。
印紙税
建築請負契約書や不動産売買契約書、ローン金銭消費貸借契約書に貼る印紙税も必要です。対象となる文書に”収入印紙”を貼付して納税します。
こちらも必要な費用であるため、予め把握しておきましょう。
繰り上げ返済手数料
一部、もしくは全額を繰り上げ返済する際の手数料は、金融機関によって若干金額が異なります。
手数料額は窓口で手続きすると1万円程度ですが、インターネット手続きであれば無料の金融機関が多くあります。少しでも損をしないように、事前にチェックしておきましょう。
事務取扱手数料
金融
機関から融資を受ける際の手数料です。融資金額の2.2%(税込)としている金融機関がほとんどであり、この場合は前述したローン保証料がかかりません。
保証料型か事務手数料型のいずれを選択するかは、返済総額を計算して判断しましょう。
融資手数料
上述した事務手数料型ローンの場合、融資手数料は事務手数料に含まれています。
一方で保証型ローンの場合、定額で3〜5万円程度の融資手数料が発生する場合があります。この場合も、どちらが良いか返済総額を計算して選択しましょう。
住宅ローンの選び方4.団体信用生命保険(団信)の保障内容
住宅ローンを選ぶ場合、付随する団体信用生命保険の内容も大きなポイントの1つです。
『団体信用生命保険(団信)』とは、住宅ローン契約者が死亡、もしくは高度障害に陥った場合、残債を全て完済してくれる保険のことです。
金融機関によって扱っている特約が異なる場合が多く、選択のポイントの1つになるため、しっかり比較するようにしてください。
オプション特約には、主に以下のようなものがあります。
- 三大疾病特約
- 八大疾病特約
- ガン保障特約
ガンや脳梗塞などの重大疾病になった時にローン返済に対する不安を軽減できますが、年齢制限や健康状況によって加入できないオプションもあります。このような、オプション特約に加入する際の条件や、免責事項が選択のポイントになるケースもあるので注意しましょう。
一般的に、団信はローン金利に含まれていることが多いため、負担感が少ない点も特徴です。
団信保険料は通常の生命保険やガン保険に比べて割安な場合が多いので、自分に合った団体信用生命保険を選びましょう。
住宅ローンの選び方5.返済方法
返済方法によって月額返済額は変わってきます。自分のライフスタイルに合った返済方法を選択することが大切です。
- 元利均等返済
- 元金均等返済
上記2点の返済方法を1つずつ確認しましょう。
元利均等返済
元利均等返済の特徴は、金利が変動しない限り毎月の返済額が経年で変わらない点です。
月額の返済額は一定ですが、中身としては、返済初期に利息分を多く返済し、経年とともに利息分が減って元金分の返済割合が多くなるという仕組みです。
相続税の心配がある人は元金がなかなか減らないため債務控除効果を期待できますが、一般的には元金が減らないデメリットがある点を認識しておきましょう。
元金均等返済
元金均等返済の特徴は、毎月の元金返済額が一定であり、その元金返済額に利息分を加算して返済することです。
利息は借入残高に金利を乗じて計算されるため、借入残高の減少に比例して月々支払う利息分は徐々に減少します。すなわち、返済開始当初の金銭的負担が大きくなる点に注意が必要です。
一般的に、元利均等返済が基本で元金均等返済はオプションとしている金融機関が多くあり、中には元金均等返済を扱っていない金融機関もあるため注意してください。
住宅ローンの選び方に関するよくある質問
ここでは、住宅ローンの選び方に関するよくある質問に回答します。
- 住宅ローン選びに迷ったらどこに相談すれば良い?
- 住宅ローンはどこで借りるのが得?
- 28歳で35年の住宅ローンを考えている場合のプランはどれが良い?
上記3つの質問をそれぞれ見ていきましょう。
住宅ローンの選び方で迷ったらどこに相談すれば良い?
自分だけで住宅ローンを選べない時は、FP(ファイナンシャルプランナー)や不動産に明るい税理士などに相談することがおすすめです。
また、実績豊富な建築会社や不動産会社は、利害関係が少なく過去の取引経験から実例に即してアドバイスしてくれる場合が多いので、積極的に相談してみましょう。
住宅ローンを選ぶ段階で金融機関に相談することは、あまりおすすめできません。自分の銀行の営利を優先するおそれがあり、どうしてもフェアな意見を期待することが困難だからです。
住宅ローンはどこで借りるのが得?
月額返済額を減らすことが目的であれば、金利が低めに設定されているネット系金融機関がおすすめです。ネット系金融機関は近年拡大しており、種類も豊富であるため選択肢の1つとして挙げて他行と比較すると良いでしょう。
ネット環境に馴染みがなく対面でのサービスを期待する場合は、金利が多少高くても都市銀行や地方銀行をおすすめします。
28歳で35年の住宅ローンを考えている場合のプランはどれが良い?
現時点では、低金利の変動金利型をおすすめします。
物価は上昇基調にありますが、全世帯にわたって賃金が上昇し消費動向が高まっている訳ではなく、政策金利を利上げする動きが見られないからです。
ここで、変動金利と固定金利における2,000万円を35年で返済する場合の返済額を比較してみましょう。
変動金利(0.345%) |
固定金利(1.91%) |
差額 |
|
月額 |
5万558円 |
6万5,332円 |
1万4,774円 |
年額 |
60万6,696円 |
78万3,984円 |
17万7,288円 |
5年後 |
303万3,480円 |
391万9,920円 |
88万6,440円 |
※2024年3月時点
※参考:住宅ローン金利丨三菱UFJ銀行
変動金利(元利均等返済)には、仮に金利が上昇しても5年間は返済額が変わらず6年目に返済額が上昇する、という”5年ルール”があります。
6年後に返済額が増えることがわかっているので、5年間の間に貯蓄を増やしたり繰上返済したりして返済額の増加に備えられます。
また、6年後に金利が上昇しても今までの返済額の1.25倍までに制限する”125%ルール”があるため、固定金利の月額返済額よりも低い返済額に抑えられるでしょう。
ここでは、6年後に変動金利の返済額が1.25倍になった場合の返済額を見ておきましょう。
変動金利(1.698%) |
固定金利(1.91%) |
差額 |
|
月額返済額 |
6万3,195円 |
6万5,332円 |
2,137円 |
上記の通り、返済開始から10年目までは固定金利よりも低い金利で推移するとわかります。
返済開始から10年間の猶予があれば、その時々の景気や政策を見ながら借り換えや繰上返済などの対応策を検討できるでしょう。
以上の点から、28歳でこれから住宅ローンを組む場合は変動金利の元利金等型でスタートすることをおすすめします(※)。
※元金均等返済型は、上記の5年ルールや125%ルールが適用されない
住宅ローンはさまざまな選び方から自分に合ったタイプを選ぼう
この記事では、住宅ローンの選び方を5つのポイントから解説しました。
住宅ローンは、金利タイプや借入先、団信の保障内容などのさまざまな点を考慮して自分に合ったものを選ぶことが重要です。
景気や政策を想定することも大切ですが、まずは生活費を基準に返済可能額を見極めた上で、なるべく月額返済額を抑えて余裕を持った計画でスタートしましょう。
住宅ローン返済は長期にわたるので、無理のない範囲で積立貯蓄などをしながら、金利上昇リスクの対策をしておくことがおすすめです。
とはいえ、初めて住宅ローンを選ぶ際には専門的な知識や経験に乏しく、どこに相談して良いか迷う人も少なくありません。ワンプライスで高性能な自由設計の家を提供するTATTA!では、建物のプランや企画だけでなく住宅ローンに関する悩みも気軽に相談できます。
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