蓄電池のメリット・デメリットは?費用相場や太陽光発電との併用についても解説
太陽光発電を自宅に設置する場合、蓄電池と併せての導入を検討する人は少なくありません。
蓄電池にはいくつかのメリットとデメリットがあり、どちらもよく把握したうえで蓄電池の導入を検討することが重要です。
この記事では蓄電池のメリットやデメリット、太陽光発電との併用を詳しく解説します。蓄電池の導入を検討している人はぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
● 蓄電池とは?
● 蓄電池を導入するメリットやデメリット
● 蓄電池を導入する費用相場
そもそも蓄電池とは?
蓄電池とは、名前の通り電気を蓄えられる設備です。
住宅などで蓄電池を使用する一般的な方法として、太陽光発電で作られた電気を蓄える方法が挙げられます。
太陽光発電していない時間帯は、蓄電池内の電気を利用して電気代を抑えられます。
ここからは、蓄電池の種類を解説します。
蓄電池の種類
蓄電池は、産業用蓄電池と家庭用蓄電池の2種類に分けられます。
産業用蓄電池とは、工場や店舗などで使用される容量が大きい蓄電池を指します。工場などは、停電によって電気の使用ができなくなると収益面で大きな打撃を受けてしまいます。そのため、産業用蓄電池はバックアップのための電源として利用されています。
家庭用蓄電池においても、停電が起きた際のバックアップ目的で設置されます。家庭用の蓄電池は太陽光発電と一緒に設置されるケースがほとんどであり、太陽光発電で作った電気を蓄電しています。
双方を比較すると、産業用の蓄電池は容量も大きく価格も高額です。家庭用電源では産業用ほどの容量は必要ないので、産業用よりも安価に設置できるといえます。
蓄電池を導入するメリット
蓄電池を導入するメリットとして、以下3点を挙げました。
- 電気代が節約できる
- 災害などによる停電時でも電気を使用できる
- 売電単価の下落に備えられる
上記の3点を詳しく解説します。
電気代が節約できる
蓄電池があると、割安な時間帯に電力会社から電気を購入して蓄電池に貯めておき、日中の電気代が高い時間帯に使用するといった方法で電気代を節約できます。
電力会社との契約を、”深夜の電気代が安く日中の電気代が高い契約”に切り替えておくと、節約効果が高まります。
災害などによる停電時でも電気を使用できる
太陽光発電で作った電気を蓄電池に貯めておけるため、災害などによる停電時にも蓄電池内の電気を使用できます。
一般的な家庭の場合、蓄電池に7〜8kWhの電気が貯まっていれば半日程度は使えるでしょう。
使用する電気を抑えるとさらに長時間使い続けられるため、災害時にも有効な設備といえます。
売電単価の下落に備えられる
蓄電池があれば、太陽光発電で発電した電気の単価が下がっても、電気を貯めて使うことにシフトできます。
太陽光発電で作った電気が家庭で消費する電力より多く作られた場合、電力会社に売電可能です。しかし、売電価格は年々下落しており、当初設定の半額程度の買取価格となっているケースが見受けられます。
10年間の固定買取価格が終了すると、電気の買取価格がさらに安くなってしまうでしょう。余った電気を売却するのではなく、貯めて家庭で使用するといった動きにシフトするのであれば、蓄電池の導入が欠かせません。
蓄電池を導入するデメリット
蓄電池を導入する際のデメリットとして、以下3点を挙げました。
- 初期費用がかかる
- 設置するためのスペースが必要
- 徐々に劣化し充放電回数に限りがある
上記3点を詳しく解説します。
初期費用がかかる
容量やメーカーなどによっても価格は異なりますが、蓄電池の設置には一般的に100〜150万円程度の初期費用がかかります。
太陽光発電の設置と合わせると、200〜500万円程度の初期費用がかかるため、まとまった資金がなければ導入が難しいといえます。
設置するためのスペースが必要
蓄電池を設置するためには、ある程度の大きさのスペースが必要になります。
蓄電池はそこまで大きな設備ではありません。しかし、室内用の蓄電池を設置する場合、動作音がするため設置場所に注意する必要があります。
徐々に劣化し充放電回数に限りがある
蓄電池を導入するデメリットとして、経年劣化により徐々に機能性が落ちる点が挙げられます。
蓄電池は一般的に10〜15年程度は使用可能といわれていますが、徐々に性能が落ちてくるため、定期的なメンテナンスが必要です。
蓄電池を導入する際の費用相場
家庭用蓄電池を設置する場合の費用相場は、おおむね約187万円です。
経済産業省によれば、日本における蓄電システムの価格は1kWhあたり18.7万円です。
一般的に家庭で使用する蓄電池の容量は多くても10kWh程度であるため、経済産業省のデータに照らすと、蓄電池の費用相場は187万円前後といえます。
しかし、取り扱うメーカーや地域などによっても蓄電池の価格は異なるため、目安としておきましょう。
蓄電池の導入は太陽光発電との併用がおすすめ
蓄電池の導入は、太陽光発電との併用がおすすめです。
太陽光発電は、太陽が出ている時間しか電気を作れない点と作った電気を貯められない点がデメリットとして挙げられます。
このデメリットをカバーするのが蓄電池です。
太陽光発電で作った電気を蓄電池に貯めておくことで、太陽光発電ができない時間帯でも蓄電されている電気を使用できます。
太陽光発電と蓄電池の併用で、さらなるランニングコスト削減が可能といえます。
蓄電池の導入で適用される補助金制度
蓄電池を導入する際に適用できる補助金制度はいくつか存在します。ここからは、蓄電池の導入で適用できる補助金を、国と地方自治体ごとに分類して解説します。
国から交付される補助金
国が適用している補助金を、以下の表にまとめました。
名称 |
補助金額 |
補足 |
こどもエコすまい支援事業 |
64,000円/戸 |
– |
DER補助金 |
上限60万円/戸 |
自家設置の場合、 ● 全条件を満たすなら3.2万円/kWh ● 一部の条件を満たすなら2.7万円/kWh |
第3者所有の場合、 ● 全条件を満たすなら4.7万円/kWh ● 一部の条件を満たすなら4.2万円/kWh |
||
DR補助金 |
上限60万円/戸 |
自家設置の場合、 ● 全条件を満たすなら3.2万円/kWh ● 一部の条件を満たすなら2.7万円/kWh |
第3者所有の場合、 ● 全条件を満たすなら5.2万円/kWh ● 一部の条件を満たすなら4.7万円/kWh |
※参考1:エコ住宅設備の設置|国土交通省
※参考2:令和5年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用実証事業|一般社団法人環境共創イニシアチブ
※参考3:令和4年度補正 電力需給ひっ迫等に活用可能な家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業|一般社団法人環境共創イニシアチブ
補助金制度の利用は公募方式が一般的で、予算が上限に達すると募集が打ち切りになってしまいます。期間中の打ち切りも多いので、早めの申請が必要です。
地方自治体から交付される補助金
地方自治体で交付される補助金をいくつかの地域ごとに下記の表にまとめました。
【地域別の地方自治体から交付される補助金】
自治体名 |
申請期間 |
蓄電池補助金 |
太陽光補助金 |
V2H補助金 |
静岡県浜松市 |
2023/5/10 ~2024/3/31 |
一律10万円 |
一律2万円 |
一律10万円 |
静岡県富士市 |
2023/4/1~2024/3/31 |
一律5万円 |
未定 |
一律5万円 |
静岡県藤枝市 |
2023/6/1~2024/2/29 |
2万円/kWh |
未定 |
未定 |
静岡県掛川市 |
2023/4/10~2023/10/31 |
設置価格の1/2 上限10万円 |
設置価格の1/2 上限2万円 |
設置価格の1/2 上限5万円 |
静岡県磐田市 |
2023/5/1~ 2024/3/31 |
一律2万円 |
一律2万円 |
未定 |
大阪府東大阪市 |
2023/6/1~ 2024/2/29 |
1万円/kWh 上限6万円 |
2万円/kW 上限8万円 |
未定 |
東京都 |
2023/6/22 ~2024/3/29 |
15万円/kWh 上限120万円 |
15万円/kW 上限45万円 |
100万円 単体は50万円 |
神奈川県中郡大磯町 |
2023/4/1~2024/2/29 |
一律5万円 |
1.5万円/kW 上限5.2万円 |
一律5万円 |
岐阜県北方町 |
2023/5/1 ~ 2024/3/31 |
設置価格の1 /3 上限25.8万円 |
7万円/kW 上限35万円 |
未定 |
愛知県豊橋市 |
2023/4/1~2024/3/31 |
1万円/kWh 上限7万円 |
1.2万円/kW 上限4.8万円 |
未定 |
愛知県半田市 |
2023/4/1~2024/3/31 |
一律10万円 |
未定 |
未定 |
※2023年7月時点の情報です。詳細は各自治体にご確認ください。
※参考1:2023年(令和5年)|静岡県の太陽光発電・蓄電池・V2Hの補助金
※参考2:2023年(令和5年)|大阪府の太陽光発電・蓄電池・V2Hの補助金
※参考3:2023年(令和5年)|東京都の太陽光発電・蓄電池・V2Hの補助金
※参考4:2023年(令和5年)|神奈川県の太陽光発電・蓄電池・V2Hの補助金
※参考5:2023年(令和5年)|岐阜県の太陽光発電・蓄電池・V2Hの補助金
※参考6:2023年(令和5年)|愛知県の太陽光発電・蓄電池・V2Hの補助金
※2023年7月時点の情報です。詳細は各自治体にご確認ください。
国の補助金同様、予算が上限に達すると募集が打ち切りとなるため、早めの申請が必要です。
蓄電池に関するよくある質問
最後に、蓄電池に関するよくある質問を3つ挙げました。
- おすすめの蓄電池の選び方は?
- 蓄電池は屋内と屋外のどちらに設置すべき?
- もしも蓄電池設置後に電気代が高くなったら解約できる?
上記の3点を詳しく解説します。
おすすめの蓄電池の選び方は?
蓄電池を選ぶ前に、必要になる蓄電池の容量を事前に把握しておきましょう。
蓄電池の容量によって価格が大きく変わります。大きな蓄電池を設置しても、そこまで容量が必要なければあまり意味がありません。
逆に、少ない容量の蓄電池を選ぶと、停電時などにすぐに使い切ってしまうことが考えられます。太陽光パネルの発電容量なども考えて、蓄電池の容量を決定しましょう。
蓄電池は屋内と屋外のどちらに設置すべき?
屋外に余裕がある場合は屋外の設置がおすすめです。一般的には、容量が6kWhを超える蓄電池はほとんどが屋外型です。
屋内型を設置する場合は、音がするため設置場所を間違えると音に悩まされてしまうおそれが考えられます。
もしも蓄電池設置後に電気代が高くなったら解約できる?
自宅を訪問した事業者から家庭用蓄電池の勧誘を受けた場合は、一定期間内であればクーリングオフ制度を利用して無条件に解約できます。
クーリングオフできる期間を過ぎてしまった場合でも、事業者が商品の性能などの重要な事実を隠したり嘘をついたりしていたときには、契約を取り消せることがあります。
詳しくは、消費生活センターなどに問い合わせましょう。
蓄電池のメリット・デメリットを把握して検討しよう
蓄電池を利用できるようになり、太陽光発電の使用用途が大きく広がりました。
蓄電池を導入すれば、電気代を大きく節約でき災害時にも電気を利用できるといった大きなメリットが得られます。ただし、蓄電池は初期費用などのデメリットも考慮して、導入を検討しましょう。
節約できる電気代が多ければ多いほど、設置した蓄電池の費用をカバーできる年数が短く、お得になります。事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。
TATTA!では、お客様の希望に沿った家づくりのプランも提案します。お客様に寄り添って相談を承るので、ぜひTATTA!にお問い合わせください。
※本記事の制度や数値は2023年7月時点のものです。