住宅ローンは何歳まで組める?平均年齢・年齢制限やポイントも解説

この記事では、住宅ローンが何歳まで組めるのか解説します。
住宅ローンはいつでも組めるわけではなく、年齢が審査に影響する要素の1つです。住宅ローンは長期にわたって返済し続けることが想定されるので、余裕のある資金計画やライフプランが重要になるでしょう。
そこで、この記事では住宅ローンを借入れしている人の平均年齢や年齢制限などのデータを踏まえ、借入時のポイントなども紹介します。
【この記事で分かること】
● 住宅ローンは何歳まで組めるのか
● 住宅ローンは何歳までに組むのが理想的か
● 年齢を考慮して住宅ローンを組むときのポイント
● 住宅ローンは何歳まで組めるのか実際にシミュレーション
住宅ローンは何歳まで組めるのか
住宅ローン審査の年齢制限は主に2つあり、申込時の年齢と完済時の年齢です。
一般的に、申込時の年齢制限は70歳未満で、完済時の年齢上限は80歳未満です。ただし、高齢化の影響で完済年齢を85歳としている金融機関もあります。
住宅ローンを組める年数は申込時の年齢だけでなく、完済時の年齢との差分で決められます。
たとえば、35年ローンを組む場合、80歳から逆算すると組める年齢の上限は45歳です。
ここからは、住宅ローンについて以下の項目を解説します。
- 住宅ローンを組む人の平均年齢
- 住宅ローン完済時の年齢制限
住宅ローンを組む人の平均年齢
住宅金融支援機構の住宅ローン利用調査によると、ローンを組む人の平均年齢は44歳です。住宅ローンを組む人の平均年齢は年々上昇しているといえます。
具体的な年齢層による割合は以下のとおりです。
年齢層 |
割合 |
30歳未満 |
10.6% |
30歳代 |
30.4% |
40歳代 |
27.6% |
50歳代 |
17.6% |
60歳以上 |
13.9% |
※参考:2023年度 フラット35利用者調査(P4「年齢別」利用割合の推移)|住宅金融支援機構
平均年齢が上昇傾向にあるのは、定年延長や金融機関の借入可能年齢の引き上げが影響していると考えられます。住宅ローンを組むのが遅いと、定年退職後も返済が続くため、返済計画を立てる際には注意が必要です。
住宅ローン完済時の年齢制限
住宅ローン完済時の年齢制限は、80歳未満が一般的です。近年、高齢化の影響で年齢制限を85歳に引き上げている金融機関(※)もあります。
完済が80歳となると、定年退職後でも20年間住宅ローンを支払う必要があるため、定年前に完済できるようなプランを組むのが理想的です。
完済時の年齢を考慮し、自分が将来的に困らないような返済計画を立てましょう。
住宅ローンは何歳までに組むのが理想的か
住宅ローンを組む理想的な年齢は、30代前半だといえます。なぜなら、30代前半に住宅ローンを組むと、定年退職前に完済できる可能性があり、老後の負担も軽減できるからです。
たとえば35年ローンを組む場合は、30歳で開始すれば65歳で完済できるでしょう。ただし、住宅ローンを組むときには以下のような注意点もあるので、事前に押さえておくことが重要です。
- 年齢制限=審査に通る年齢ではない
- 高齢者の場合は団信に入れないリスクがある
年齢制限=審査に通る年齢ではない
住宅ローン審査は、年齢制限を満たしていれば必ず通るわけではありません。
国土交通省の住宅局が調査した『民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書(令和5年度)』によると、住宅ローンで金融機関が審査する項目は以下のとおりでした。
審査項目 |
割合(※) |
完済時年齢 |
98.5% |
健康状態 |
96.6% |
借入時年齢 |
96.0% |
年収 |
94.0% |
勤続年数 |
93.6% |
返済負担率 |
92.0% |
担保評価 |
91.8% |
※金融機関が審査項目としている割合
※参考:令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書(P22)|住宅局(国土交通省)
上記は、金融機関の9割以上が審査に取り入れている項目です。完済時年齢以外でも、借入時の年齢や健康状態、年収など現在の状況をチェックしていることがわかります。
年収が不十分だったり、健康状態が悪かったりすると、借入時・完済時の年齢に問題がなくても審査に通らないケースもあるでしょう。
住宅ローン審査に通るためにも、スケジュールに余裕を持たせて資金計画を立てておくことが重要です。
高齢者の場合は団信に入れないリスクがある
高齢者が住宅ローンを組む場合、多くの金融機関では団体信用生命保険(団信)への加入が求められます。
団信は契約者が返済中に死亡、もしくは特定の高度障害状態になってしまった場合に、ローン残高が保険で支払われる仕組みです。
団信には加入可能な年齢制限があり、団信の加入年齢を満71歳未満としている金融機関がほとんどです。特にがん団信では、加入年齢が満51歳未満に制限している場合もあります。
高齢になると病気のリスクが高くなり、健康上の理由から団信の審査に通らない場合があるでしょう。住宅ローンは団信の加入を条件としているケースがほとんどのため、高齢になってから審査を通過するのは困難だといえるでしょう。
団信に加入できない場合は、住宅ローンを組むこと自体難しくなるおそれがあるため、年齢や健康状態を考慮し、若年層のうちに住宅ローンを組むのがよいでしょう。
年齢を考慮して住宅ローンを組むときのポイント
ここからは、年齢を考慮して住宅ローンを組むときのポイントについて解説します。
- ライフステージに応じた自己資金を用意しておく
- 無理のない返済計画を立てる
- 住宅ローン以外の諸費用も考慮する
- ペアローンや親子リレーローンを検討する
ライフステージに応じた自己資金を用意しておく
住宅ローンを組むときには、ライフステージに応じた自己資金を準備することが重要です。結婚や出産、子どもの進学、老後の生活など、人生には大きな支出のタイミングが何度も訪れます。
たとえば、家を買う時期と結婚費用が重なったり、教育費の増加とローン返済の時期が重なったりする場合があります。突然の支出に備えるためにも、貯金を頭金に使い切るのではなく、生活資金として手元に残すお金も確保しておくことが重要です。
今後のライフイベントを見越して自己資金を用意しておくことで、長期的に見ると住宅ローンの負担軽減にもつながるでしょう。
無理のない返済計画を立てる
住宅ローンを滞りなく返済するためには、無理のない返済計画を立てることが重要です。
一般的に、住宅ローンの返済額は「返済負担率」で判断される傾向にあります。返済負担率とは、自分の年収に対する年間のローン返済額の割合のことです。
住宅金融支援機構の『住宅ローン利用者調査(2024年4月調査)』によると、返済負担率は15%超〜20%が最も多い数値となりました。これを踏まえると、返済負担率は少なくとも25%以内に抑えることが望ましいといえます。
たとえば、年収が500万円で返済負担率が25%の場合、年間返済額は125万円となります。
子どもの進学や車の買い替えなど、将来的な支出も踏まえて計画を立てることで、生活に余裕をもたせやすくなり、住宅ローンの返済負担も軽減できるでしょう。
住宅ローン以外の諸費用も考慮する
住宅購入を検討する場合、住宅ローン以外にも諸費用をいくつか支払う必要があります。諸費用は主に、物件の購入時にかかる費用と購入後に暮らす上でかかる費用の2種類です。
住宅ローン以外にかかる諸費用の一覧は以下のとおりです。
支払うタイミング |
内訳 |
物件購入時 |
仲介手数料 |
印紙税 |
|
登録免許税 |
|
不動産取得税 |
|
司法書士の報酬 |
|
物件購入後 |
固定資産税 |
都市計画税 |
|
火災保険料 |
|
地震保険料 |
|
修繕・リフォーム費用 |
なお、諸費用は物件価格の約3〜8%程度が目安になります。たとえば、物件価格が1,000万円の場合は、30万〜80万円程度が諸費用としてかかります。
前述のとおり、諸費用は物件購入後にもかかるので、全体の金額をある程度把握し、無理のない資金計画を立てることが重要です。
ペアローンや親子リレーローンを検討する
住宅ローンを組む際は、ペアローンやリレーローンを採用することで、借入可能額の増額や、余裕のある返済計画が立てられるでしょう。
ペアローンは、親子や夫婦がそれぞれローン契約を結び、互いに連帯保証人になる仕組みです。
返済負担が2人に分散されるので、より融資を受けやすくなる可能性があります。
ただし、契約自体も2回分になるため、手数料や諸費用が増加する点に注意が必要です。
リレーローンは、親子が1つのローンを共有し、最終的に子どもへ返済を引き継ぐローンの形式です。親が高齢の場合でも、子どもの年齢を基準に返済期間を設定できるので、月々の返済負担を抑えられるのがメリットです。
ただし、団体信用生命保険(団信)の加入者が子どものみとなるケースが多く、親に万が一のことがあった場合は子どもが全額返済する責任を負うことになります。
ペアローンやリレーローンで住宅ローンを組む場合は、双方の収入や年齢、将来の生活設計などを考慮し、無理のない返済計画を立てることが重要です。
また、相続時のトラブルを避けるため、持分割合や相続対策についても事前に検討しておくとよいでしょう。
住宅ローンを何歳まで組めるか把握して無理のない返済計画を
この記事では、住宅ローンが何歳までに組むのが理想的か解説しました。住宅ローンは長期間返済し続けることになるので、余裕のある資金計画やライフプランを立てることが重要です。
住宅ローン審査では年齢だけでなく、年収や健康状態なども見られるので、事前にシミュレーションしておくとよいでしょう。
シミュレーションでは、完済時の年齢だけでなく、年齢に応じた月々の返済額や総返済額も事前に計算しておくことが重要です。ある程度の返済プランが固まれば、自分にとって最適なタイミングでの家づくりや、住宅ローンの借入を実現できるでしょう。
TATTA!では、家づくりのプランだけでなく住宅ローンなどの資金計画についてのご相談を承ります。お客様に寄り添いながら最適なアドバイスをいたしますので、ぜひ一度ご相談ください。