住宅ローン控除はいつまで利用可能?税制改正による変更点を踏まえて解説
この記事では、住宅ローン控除はいつまで利用できるのかを解説します。
住宅ローンを利用して家を購入する場合、必ず利用したい税制優遇制度が住宅ローン控除です。しかし、税制改定などにより住宅ローン控除にも何点か変更がありました。
この記事では、住宅ローン控除の利用期間や税制改正による変更点などを詳しく解説します。手続きの流れや申請時の注意点もお伝えするので、住宅ローン控除の利用を検討している人はぜひこの記事を参考にしてください。
【この記事でわかること】
● 住宅ローン控除を利用できる期間
● 住宅ローン控除を申請する時期
● 住宅ローン控除の各種手続きについて
● 住宅ローン控除を申請するときの注意点
そもそも住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して家の購入、または増改築などをした際に一定の要件を満たすと、年末のローン残高の0.7%が所得税から控除される制度です。
住宅ローンはかなり大きな金額であり、その0.7%が控除されるため、家を購入した際には必ず利用するべきといえます。
住宅ローン控除の利用は令和3年で終了する予定でしたが、令和4年度の税制改正で適用期間が延長されました。
住宅ローン控除はいつまで利用できるのか
前述の通り、住宅ローン控除の適用期間は延長され適用要件も変更されました。
ここからは、適用期間と適用要件の変更点を解説します。
適用期間の変更点
住宅ローン控除の適用期間は令和4年に延長され、令和7年まで控除が可能となりました。つまり、住宅を購入した人は長期間にわたって控除を受けられます。
この改正には、住宅購入を促進して住宅市場を活性化する目的と新築・リフォームの促進を図る目的が考えられます。
※参考:住宅ローン減税|国土交通省
適用要件の変更点
令和4年度の税制改正によって、適用要件にいくつかの変更がありました。主な内容は下記の通りです。
<主な変更内容>
変更前 | 変更後 | |
中古住宅の築年数 | ● 耐火住宅:25年以内 ● 非耐火住宅:20年以内 |
● 昭和57年以降に建築された住宅 |
新築住宅の床面積 | ● 50㎡以上 | ● 40㎡以上 |
適用対象者の所得 | ● 3,000万円以下 | ● 2,000万円以下 |
また、令和6年以降に建築確認を受ける新築住宅には、省エネ基準に適合していることが要件となっています。
要件が厳しくなったものもあれば、緩和されたものもあります。上記の他にも変更点があるため、一度確認しましょう。
※参考:住宅ローン減税|国土交通省
住宅ローン控除はいつまでに申請するのか
ここでは、住宅ローン控除の申請期間について解説します。
- 1年目は確定申告
- 2年目以降は年末調整が目安
- 申請を忘れた場合の対処法
上記3点をそれぞれ見ていきましょう。
1年目は確定申告
住宅ローン控除の1年目は確定申告が必要です。確定申告の際は、ローン控除証明書を申告書に添付します。
会社員で副収入などがない人は、確定申告に慣れておらず困難に感じるでしょう。不安な人には、担当の税務署に足を運んで方法を聞くことがおすすめです。
また近年では、e-taxなどの利用により、インターネットから気軽に手続きできます。e-taxの利用にはマイナンバーが必要であるため、事前にマイナンバーカードを申請して番号がすぐわかる状態にしましょう。
2年目以降は年末調整が目安
2年目以降は、年末調整で控除を申請できます。
給与所得者は雇用主を通じて年末調整で控除を受ける場合が一般的です。給与所得者で住宅ローンがある場合、年末調整の書類と住宅ローン控除証明書を年末に雇用主へ提出することで、控除を受けられます。
ただし、自営業者や源泉所得のない人は、2年目以降も確定申告書で控除を受ける必要があります。
申請を忘れた場合の対処法
住宅ローン控除の初年度に確定申告しなかった場合でも、5年以内に確定申告すれば控除を受けられます。5年以内の確定申告であれば、過ぎた年数分の控除も還付してもらえます。
年末調整の申請を忘れてしまった場合は、すぐに雇用主に書類を提出し直しましょう。もし、雇用主が書類提出を受け付けていない場合は、自分で確定申告をする必要があります。
住宅ローン控除の各種手続きについて
ここでは、住宅ローン控除の各種手続きについて以下の3点を解説します。
- 控除額の計算方法
- 手続きの必要書類
- 手続きの流れ
順番に確認しましょう。
控除額の計算方法
住宅ローン控除額の計算方法は下記の通りです。
住宅ローン控除額=年末の住宅ローン残高×0.7% |
例えば、新築住宅において年末の住宅ローン残高が2,500万円だった場合、控除額は以下のようになります。
住宅ローン控除額=2,500万円×0.7%=17.5万円 |
仮に中古住宅の場合、借入限度額は2,000万円であるため、控除額は以下の通りです。
住宅ローン控除額=2,000万円×0.7%=14万円 |
所得税から全額を差し引けない場合は住民税からも控除されますが、一定額である点に注意しましょう。
手続きの必要書類
初年度の確定申告時に必要な書類は、主に以下の通りです。
- 確定申告書
- 住宅借入金等特別控除額の計算証明書
- マイナンバーカード
- 土地や家屋の登記簿
- 請負や売買契約書
- 年末の残高証明書
これらの書類を確定申告書に添付して提出しましょう。
また、購入した物件の内容などによって提出する書類が異なります。事前に提出する書類を確認し、用意しておくと安心です。
手続きの流れ
住宅ローン控除の手続きの際には、まず先述の必要書類を収集します。
確定申告の時期は毎年2月16日〜3月15日と決まっているため、書類集めを怠るとこの時期を過ぎてしまうおそれが考えられます。特に、初めて確定申告する場合は、申請に時間がかかることがあるため、早い段階から書類を集めておくことがおすすめです。
続いて、確定申告書を記入、もしくはe-taxで入力します。確定申告書が完成したら、集めた書類と一緒に提出しましょう。
問題や不備がなければ、1ヶ月程度で指定口座に還付金が振り込まれるといった流れです。
住宅ローン控除を申請するときの注意点
ここでは、住宅ローン控除を申請するときの以下3つの注意点を解説します。
- ふるさと納税と併用する場合は注意が必要である
- 繰り上げ返済の要件を満たさないと適用外になる
- 居住していない場合は適用外になる
それぞれ見ていきましょう。
ふるさと納税と併用する場合は注意が必要である
住宅ローン控除の利用初年度には確定申告が必要ですが、ふるさと納税を利用している場合、ふるさと納税の控除利用を計算した後に住宅ローン控除を計算します。
住民税の金額より住宅ローンの控除額が大きくなると、全額を控除してもらえないおそれが考えられます。
ふるさと納税と住宅ローン控除の両方を利用する場合は、事前計算などの準備が必要です。
繰り上げ返済の要件を満たさないと適用外になる
住宅ローン控除の適用要件として、住宅ローンを10年以上利用することが挙げられます。
住宅ローンの繰り上げ返済を実行して継続期間が10年未満となってしまうと、住宅ローンの適用から除外されてしまいます。繰り上げ返済を検討している人は、注意が必要です。
居住していない場合は適用外になる
住宅ローンを利用して取得した家の目的が居住であることも、住宅ローン控除の適用要件として挙げられます。そのため、居住していない家の場合、住宅ローン控除対象外です。
しかし、単身赴任で家族が居住している場合や、短期間の転勤などでその年の12月31日までに再び居住する場合などは、住宅ローン控除を受けられます。
住宅ローン控除に関するよくある質問
最後に、住宅ローン控除に関してよくある質問に回答します。
- 2年目以降の年末調整で還付金がないのはなぜ?
- 住み始める時期によって控除額で損することはある?
上記2つの質問を順番に見ていきましょう。
2年目以降の年末調整で還付金がないのはなぜ?
2年目以降の年末調整で還付金がない、もしくは少ない理由は以下の2点が考えられます。
- 住宅ローン控除の還付金上限を超えているから
- 所得税額がローン残高の0.7%以下だから
住宅ローン控除は、住宅の種類によって最大の控除額が決まっています。それをオーバーしていると、還付金が事前の計算より少ないケースがあります。
また、住宅ローン控除前の所得税額が控除額を上回っている場合、超過分は住民税から控除されます。以上2点が原因で、還付金がないと感じる場合があります。
住み始める時期によって控除額で損することはある?
住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高をもとに算出されます。そのため、マイホームを取得した12月に入居すると、残高がほぼ減っていない状態で住宅ローンの控除を受けられます。
1月に入居した場合、その年の12月末の残高は少し減っているため、控除額は少なくなるでしょう。少なからず、住み始める時期も影響するといえます。
住宅ローン控除がいつまで利用できるかを把握しよう
令和4年度の税制改正により、住宅ローン控除は令和7年度まで延長されました。
家を取得する際には住宅ローンを利用するケースが一般的であるため、住宅ローン控除の利用延長は住宅の流通を促進するきっかけになると考えられます。
家の購入などを検討している人は、令和7年度の住宅ローン控除の期限までに家を購入すると、家計の負担が緩和されるでしょう。いつまで利用できるかをしっかりと把握し、今後のライフプランに活かすことが大切です。
TATTA!では、住宅ローン控除をはじめとした資金計画のご相談も承ります。マイホームに関する疑問を解消できる家づくり相談会も実施しているので、購入を検討している人はぜひ一度ご相談ください。