住宅ローン2,000万円の返済はきつい?年収・期間別のシミュレーションも

住宅ローン2,000万円の返済はきつい?年収・期間別のシミュレーションも

この記事では、住宅ローン2,000万円の返済は厳しいのかについて解説します。

マイホームのための住宅ローンを検討する際には、自分の年収に応じた適切な返済計画を組むことが大切です。曖昧な返済計画でスタートしてしまうと、毎月のローン返済に苦しんでしまいます。

本記事では、2,000万円の住宅ローンを組んだ際のシミュレーションを、年収別・期間別に解説します。これからマイホームを購入するために住宅ローンを組もうと考えている人は、ぜひ本記事を参考にしてください。

【この記事でわかること】

● 2,000万円の住宅ローンを組む年収の目安は500万円

● 住宅ローン2,000万円の年収別返済シミュレーション

● 住宅ローン2,000万円の期間別返済シミュレーション

2,000万円の住宅ローンを組む年収の目安は500万円

2022年の2人以上の世帯における、世帯年収とローン返済額の全国平均値を見てみましょう。

<実収入と融資額(月額返済額)>

年額

月額

実収入

741万1,848円

61万7,654円

融資額と月額返済額

2,967万2,000円

9万6,474円

※参考:家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要|総務省統計局

上記のデータから全国平均ローン返済負担率を計算してみましょう。

9万6,474円 ÷ 61万7,653円=15.6%

以上から、全国平均返済負担率は15〜16%程度だとわかります。

次に、2,000万円を借入れした場合の返済額とその返済額から返済負担率を勘案し、必要になる年収額を算定しましょう。

2,000万円を借入した際の月額返済額は、6万5,027円です。6万5,027円の返済額から、返済負担率を勘案して、必要となる実年収を計算します。

6万5,027円 × 12ヶ月 ÷ 15.6%=500万2,076円

上記のように、2,000万円の住宅ローンを組む実年収の目安は、500万円程度になることがわかります。

※参考:【フラット35】ご利用条件|フラット35

少なくとも300万円は必要

住宅金融支援機構のフラット35では、実年収に占める年間合計返済額の割合(総返済負担率)が下記の基準を満たすことを、申込要件としています。

年収

400万円未満

400万円以上

総返済負担率クリア基準

30%以下

35%以下

※参考:【フラット35】ご利用条件|フラット35

2,000万円の月額返済額6万5,027円を基に返済負担率30%として必要実年収を計算すると、260万1,080円となります。

フラット35の総返済負担率基準は、住宅ローンのほかに自動車ローンや教育ローンを含めて算定されるため、この基準をクリアできる実年収の目安は300万円程度でしょう。

余裕をもって返済するなら600万円

余裕をもって返済するなら、収入に対する総返済比率を15〜20%程度に抑える必要があります。

総返済比率は、住宅ローン以外に自動車ローンや教育ローン、カードローンなどが加算して算定されるため、総額600万円程度の実年収があれば余裕をもって返済できるでしょう。

【年収別】住宅ローン2,000万円の返済シミュレーション

ここでは、2,000万円の住宅ローンを組んだ際の返済シミュレーションを年収別に見ていきます。シミュレーションの設定条件は、以下の通りです。

【設定条件】

● 借入金額:2,000万円

● 返済年数:35年(420回)

● 固定金利:1.880%

以下の順にシミュレーションします。

  • 年収300万円の場合
  • 年収350万円の場合
  • 年収400万円の場合
  • 年収450万円の場合
  • 年収500万円の場合

それぞれ見ていきましょう。

年収300万円の場合

月額返済額

返済負担率

6万5,027円

26.01%

年収300万円の場合、返済負担率は26.01%になります。

実際の可処分所得やその他の借入を含めた総返済額を勘案すると、ローン返済の負担が大きくなるため、可能な範囲で自己資金の手当を検討しましょう。

可処分所得とは、収入から税金や社会保険料などを除いた所得で、概ね収入の80%程度を指します。

年収350万円の場合

月額返済額

返済負担率

6万5,027円

22.29%

年収350万円の場合、返済負担率は22.29%です。

一般的に返済負担率は収入の20〜25%以内に抑えることが推奨されていますが、できれば可処分所得の20〜25%に抑えましょう。

年収350万円の可処分所得は280万円程度であるため、可処分所得に対しての返済負担率は27.86%になり、実生活において毎月の返済をかなり負担に感じるでしょう。

年収350万円の場合、自己資金の投入を検討したり低金利の変動金利ローンを選んだりするなどして、融資額を少なくすることがおすすめです。

年収400万円の場合

月額返済額

返済負担率

6万5,027円

19.50%

年収400万円の場合、返済負担率は19.50%になります。

可処分所得に対する返済負担率も24.38%になり、負債が住宅ローンのみであれば、ほぼ良好な返済計画といえます。

とはいえ、現在は住宅ローンだけでも、将来的に教育ローンや自動車ローンなどの負債が増える場合が想定されるので、余裕ができた時点で繰り上げ返済なども検討しましょう。

年収450万円の場合

月額返済額

返済負担率

6万5,027円

17.34%

年収450万円の場合、返済負担率は17.34%です。

可処分所得に対しても21.67%となり、住宅ローン以外に返済が生じても、基本的な生活費に影響を及ぼす心配はほとんどありません。

本人や家族の病気、両親の介護などの想定していなかった費用が発生する場合があるため、余剰金は定期的に貯蓄や積み立てに回しましょう。

年収500万円の場合

月額返済額

返済負担率

6万5,027円

15.60%

年収500万円の場合、返済負担率は15.60%になります。

可処分所得に対する返済負担率も19.50%と20%を下回り、建物のグレードを上げて融資額が多少増えても対応できるレベルです。

また、将来的な修繕計画やオプション追加などに対しても、十分に備えられるでしょう。

【期間別】住宅ローン2,000万円の返済シミュレーション

ここでは、住宅ローン2,000万円を返済する場合に”何年で返済するのが適当か”をシミュレーションしましょう。

条件は下記のように設定します。

【設定条件】

● 借入金額:2,000万円

● 固定金利:1.880%

下記の返済期間の順に解説します。

  • 返済期間20年(240回)
  • 返済期間25年(300回)
  • 返済期間30年(360回)
  • 返済期間35年(420回)

それぞれ見ていきましょう。

返済期間20年の場合

  • 月額返済額10万43円(年間総支払額120万516円)

年収

返済負担率(対収入)

返済負担率(対可処分所得)

300万円

40.01%

50.02%

350万円

34.30%

42.87%

400万円

30.01%

37.51%

450万円

26.67%

33.34%

500万円

24.01%

30.01%

返済期間が20年の場合、収入に対する返済負担率を25%以下にするには年収500万円が必要です。

しかし、この場合でも可処分所得に対しては返済負担率30%を超えており、余裕をもった返済計画とはいえません。20年返済の場合、返済負担率20%以下にするには、600万(対収入)〜750万円(対可処分所得)の年収が必要になります。

返済年数20年では家計に対する負担が大きく、年収600万円未満の場合はおすすめできません。

返済期間25年の場合

  • 月額返済額8万3,607円(年間総支払額100万3,284円)

年収

返済負担率(対収入)

返済負担率(対可処分所得)

300万円

33.44%

41.80%

350万円

28.66%

35.83%

400万円

25.08%

31.35%

450万円

22.29%

27.86%

500万円

20.06%

25.08%

返済期間が25年の場合、収入に対する返済負担率を25%以下にするには、年収450万円が必要です。

しかし、この場合でも可処分所得に対しては返済負担率28%程度になっており、やはり余裕をもった返済計画とはいえません。25年返済の場合、返済負担率を20%以下にするには、500万(対収入)〜630万円(対可処分所得)の年収が必要です。

年収500万円以上の人であれば、25年返済でも家計を圧迫することなく返済できるでしょう。

返済期間30年の場合

  • 月額返済額7万2,729円(年間総支払額87万2,748円)

年収

返済負担率(対収入)

返済負担率(対可処分所得)

300万円

29.09%

36.36%

350万円

24.93%

31.16%

400万円

21.8%

27.27%

450万円

19.39%

24.24%

500万円

17.45%

21.8%

返済期間が30年の場合、収入に対する返済負担率が25%以下になるには、年収350万円が必要になります。

しかし、この場合でも可処分所得に対しては返済負担率30%を超えており、返済計画としては万全ではありません。30年返済の場合、年収450万円以上であれば収入に対する返済負担率が20%以下になります。

30年の返済を選択すれば、理想とする返済負担率をクリアできる年収レンジも広がり、ローンを借りやすくなるでしょう。

返済期間35年の場合

  • 月額返済額6万5,027円(年間総支払額78万324円)

年収

返済負担率(対収入)

返済負担率(対可処分所得)

300万円

26.01%

32.51%

350万円

22.29%

27.86%

400万円

19.50%

24.38%

450万円

17.34%

21.67%

500万円

15.60%

19.50%

返済期間が35年の場合、収入に対する返済負担率が25%以下になるには、年収350万円が必要です。

35年返済の場合、年収400万円以上なら収入に対する返済負担率は20%以下になります。

初めて住宅ローンの返済を計画する人は、まず35年返済からスタートして資金に余裕ができたら繰り上げ返済を検討しましょう。

住宅ローン2,000万円を無理なく返済するコツ

ここでは、住宅ローン2,000万円を無理なく返済するコツを解説します。

  • 返済期間を長く設定する
  • 若いうちに住宅ローンを組む
  • 頭金・繰り上げ返済を活用する
  • 金利上昇リスクを考慮する
  • ペアローンを利用する

無理なく返済するための上記5つのコツをそれぞれ解説します。

返済期間を長く設定する

返済期間を長くすると毎月のローン返済負担額を軽くできます。2,000万円の住宅ローンを”35年返済・銀行ローン・変動金利”で組んだ場合、毎月の返済額は5万558円です。

一方、同条件で20年返済にすると、毎月返済額は8万6,253円となり、35年返済に比べて毎月3万5,695円を多く負担しなければなりません。

返済開始当初はまだ収入が低いケースが多いため、なるべく長期の返済計画を組みましょう。

※参考:住宅ローン金利一覧|三菱UFJ銀行

若いうちに住宅ローンを組む

若いうちに住宅ローンを組めば、長期のローンを組んでも在職中に完済できるでしょう。

一定額の頭金を用意してから返済計画を建てる方法もありますが、住宅ローンには完済期限があるため返済期間が短くなるおそれがあります。

マイホームを建てると決めたら、なるべく早めに金融機関と相談しましょう。

頭金・繰り上げ返済を活用する

住宅ローンの負担を少なくしたいなら、頭金を検討しましょう。

自分の給与から積み立てなどで頭金を用意するだけでなく、両親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受ける方法があります。

建てるマイホームが省エネ住宅などであれば1,000万円まで、それ以外の住宅の場合は500万円までの住宅取得資金が贈与であれば、非課税になります。

年齢を重ねて資金的な余裕ができてきたら、繰り上げ返済を検討しましょう。

繰り上げ返済には毎月の返済額を減らす方法と返済年数を短くする方法の2通りがありますが、総支払い額を少なくしたいなら返済年数を短くする方法がおすすめです。

金利上昇リスクを考慮する

近年、ゆるやかな上昇傾向にある固定金利に比べて、変動金利は依然として低金利の状況が続いています。

2,000万円を35年返済で借入れた場合の月額返済額は、フラット35(固定金利:1.88%)の場合で6万5,027円、三菱UFJ銀行(変動金利:0.345%)の場合では5万558円です。毎月の返済額で1万5,000円程度も異なるため、変動金利を選ぶ人は少なくありません。

しかし、変動金利は将来的に金利の上昇リスクが伴うため、その上昇分を見込んで返済計画を組まなければなりません。

変動金利では金利が上昇しても現状返済額の1.25倍以上にならないため、月々の返済額が6万3,197円以上にはならず、固定金利より低い返済額に抑えられます。

これらの点を考慮して、どの住宅ローンを選択するか検討しましょう。

※参考1:借入希望金額から返済額を計算|フラット35

※参考2:住宅ローンシミュレーション|三菱UFJ銀行

ペアローンを利用する

夫婦とも収入がある場合にペアローンを利用すると、借入れ限度額が大きくなり、住宅ローン減税の特例をダブルで受けられます。

ただし、将来的に子育てなどで収入源が夫婦どちらかの1人になった場合は、毎月の返済額が大きな負担になるおそれがあるため、慎重に検討してください。

また、離婚に至った場合には住宅ローンの返済が原因でトラブルに発展するケースが少なくないため、ペアローンを組む際は、1人で返済することになった場合を想定した余裕のある返済計画を立てましょう。

住宅ローン2,000万円に関するよくある質問

ここでは、住宅ローンに関してよくある質問に回答します。

  • 住宅ローン2,000万円がきついと感じる原因は?
  • 住宅ローン2,000万円を組む際は頭金なしでも問題ない?
  • 住宅ローン2,000万円の審査に通らない時の対処法は?

上記3つの質問をそれぞれ見ていきましょう。

住宅ローン2,000万円がきついと感じる原因は?

毎月の返済額(その他の自動車ローンなども含めて)が生活費を圧迫する状況になると、ローンそのものを負担に感じるようになります。

返済計画は、住宅ローンや自動車ローンなどの月額返済総額が、自分の可処分所得(年収から税金や社会保険料を控除した額)の25%以下になるように計画しましょう。

住宅ローン2,000万円を組む際は頭金なしでも問題ない?

月額返済額を無理なく返済できるのであれば、無理に頭金を用意する必要はありません。

とはいえ、不動産仲介料や登記費用などの諸経費は通常自己資金で支払わなければならない点に注意してください。

住宅ローン2,000万円の審査に通らない時の対処法は?

審査に通らない時の対処法として、建物のグレードを落として住宅ローン2,000万円の額そのものを下げる方法があります。しかし、その前に以下3つの方法を検討してみてください。

  • 両親・祖父母から住宅取得資金贈与を受けられないか?
  • 返済年数を最長まで検討しているか?
  • 金利を変動にして返済負担率を適正にできないか?

住宅取得資金の贈与は500〜1,000万円の贈与を非課税で受けられます。また、住宅金融支援機構には、長期優良住宅なら50年返済が可能な『フラット50』という住宅ローンがあります。

これらの制度やローンを上手く活用して、審査に通らない場合は再検討して対処しましょう。

住宅ローン2,000万円がきつい場合は組み方を工夫しよう

住宅ローン2,000万円をきついと感じた場合には、無理せずに再度返済計画を見直しましょう。

頭金を用意して低金利や返済年数を検討するだけでも、毎月の返済額を大きく抑えられます。

まずは、無理のない返済計画からスタートすることが最も大切です。

年月が経ち収入に余裕が出てくれば、繰り上げ返済で返済計画を見直せるため、スタート時は長期返済で無理のない返済計画にすることをおすすめします。

とはいえ、自分たちだけでは「固定か変動か迷ってしまう」、「どの程度の返済ならやっていけるのかわからない」という人もいるでしょう。このような人には、銀行や住宅ローンに詳しい住宅メーカーや建築業者に相談することがおすすめです。

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