注文住宅の諸費用はいくら?土地・建物・住宅ローンごとの内訳も紹介

注文住宅の諸費用はいくら?土地・建物・住宅ローンごとの内訳も紹介

注文住宅を建築する場合、建築価格だけではなくさまざまな諸費用にも注意しなければなりません。諸費用には、土地関連の費用や建物関連の費用だけではなく、住宅ローンの手数料や税金なども含まれます。

ここでは、注文住宅の諸費用はいくらかかるのか、土地・建物・住宅ローンにおける注文住宅の諸費用の内訳を解説します。

注文住宅の諸費用について疑問を持っている人はぜひ最後まで本記事をお読みください。

【この記事でわかること】

● 注文住宅の諸費用

● 諸費用のシミュレーション

● 注文住宅の諸費用を抑えるコツ

注文住宅の諸費用は建築費全体の10%前後が目安

注文住宅の諸費用は、建築費全体の10%程度が目安です。

住宅金融支援機構の2021年度フラット35利用者調査によると、土地付き注文住宅購入者の所有資金(購入価格)は4,455万円です。

また、同じ年度に国土交通省が行った住宅市場動向調査によると、土地付きの注文住宅にかかった資金は4,879万円です。

以上のことから、注文住宅にかかる諸費用は2つの差額の430万円程度といえます。つまり、建築費全体の10%程度を諸費用として見ておきましょう。

注文住宅の諸費用1.土地関連

注文住宅の諸費用として土地関連の項目を3つ挙げました。

  • 税金
  • 登記費用
  • 仲介手数料

上記3つの項目を詳しく解説します。

税金

土地購入における税金として、主に以下の3つが挙げられます。

  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 印紙税

不動産取得税は、不動産を取得した際にかかる税金です。不動産取得税の税率は、一般的には固定資産税評価額の4%ですが、軽減措置が適用される場合は3%となります。

また、2024年3月31日までは宅地の評価額が1/2に減額されており、軽減措置が適用されている場合の計算方法は下記の通りです。

不動産取得税額=固定資産税評価額×3%×1/2-控除額

※参考:不動産取得税|総務省

登録免許税とは、所有権を移転したあとに法務局で登記する際に納める税金です。納める金額は、固定資産税評価額に一定の税率を掛けて計算します。

※参考:登録免許税の税額表|国税庁

印紙税とは、土地の売買で作成する売買契約書に貼る印紙代を指します。

印紙税も売買価格によって貼付する印紙代の金額は異なり、住宅用地の一般的な価格である1,000万円〜5,000万円の場合、印紙代は1万円です。

なお、登録免許税は2026年3月31日まで、印紙税は2024年3月31日まで軽減措置の対象になっているため、国税庁のホームページなどで把握しておきましょう。

※参考1:印紙税の手引|国税庁

※参考2:令和5年4月1日以降の登録免許税に関するお知らせ│法務局

※参考3:No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置│国税庁

登記費用

登記にかかる費用として、登録免許税以外に所有権移転に関連する費用が必要です。

土地を売買すると所有者が変更されるため、所有権登記の移転が必要になります。所有権移転は、主に司法書士へ依頼して移転登記しますが、司法書士の手数料は5万円前後かかります。

仲介手数料

仲介手数料は、土地の売買を依頼した不動産会社にかかる費用です。

仲介手数料は、売買金額によって仲介手数料の上限が定められています。

ここでは、仲介手数料の内訳を下記の表にまとめました。

売買価格

手数料率

200万円以下の部分

取引額の5%まで

200万円超〜400万円以下の部分

取引額の4%まで

400万円超の部分

取引額の3%まで

一般的に、住居用土地の売買は400万円以上のケースが多いので、まとめて以下の計算式が用いられます。

(売買価格×3%+60,000円)+消費税

仲介手数料は諸費用のなかでも大きな割合を占めるので、しっかりと理解しておきましょう。

注文住宅の諸費用の内訳2.建物関連

次に、建物関連の諸費用として6点を挙げました。

  • 各種税金
  • 登記費用
  • 地盤改良工事費用
  • 建築確認申請費用
  • ライフラインの引き込み工事費用
  • 設計監理費

上記6点をそれぞれ解説します。

各種税金

建物についても、印紙税や不動産取得税などの税金を納めなければなりません。

建物を建築する際に建築会社と請負契約を締結しますが、売買契約書同様、印紙を貼付しなければなりません。この印紙代が印紙税として徴収されます。

請負契約書の印紙税は、請負金額によって納税額が異なります。一般的な建物価格として、1,000万円〜5,000万円程度の家を建築した場合の印紙税は2万円です。

また、不動産取得税も納めなければなりません。通常の税率は建物の評価額の4%ですが、軽減措置期間中は住宅用建物の税率が3%に軽減されています。

さらに新築住宅の場合、固定資産税評価額より1,200万円を控除できます。

登記費用

ここでは、建物に関連する登記費用を下記の表にまとめました。

項目

費用

建物表示登記にかかる登録免許税

土地家屋調査士への報酬(10万円程度)

所有権保存登記にかかる登録免許税

建物の固定資産税評価額×0.15%

司法書士手数料

10万円程度

建物の評価額が高ければ登録免許税も高額になるほか、土地家屋調査士や司法書士の手数料はそれぞれ異なる場合があるので、手数料を事前に比較しましょう。

地盤改良工事費用

地盤の強度が足りず安定性に欠けてしまう場合には、地盤の補強が必要です。その場合は、地盤改良工事費用がかかります。

地盤の弱さによって工事の内容は異なりますが、一般的な工事の場合、1坪あたり5万円程度の費用がかかります。

また、工法や請け負う地盤改良業者によっても、金額が異なることを押さえておきましょう。

建築確認申請費用

家を建てる際は、建築確認を申請して検査を受けるための費用がかかります。

検査では、土地の建ぺい率や容積率、構造などが調査され、家を建てる条件を満たしているかどうか確認されます。

自治体によって費用は異なりますが、3〜6万円程度の費用が必要です。

ライフラインの引き込み工事費用

家を建てる際は、ライフラインを引き込むための工事費用がかかります。

具体的には、上下水道の引き込みやガスの引き込み費用が必要です。

上下水道の引き込み費用として80万円前後かかると考えておきましょう。また、ガス管の引き込みは20万円前後の費用が必要です。

設計監理費

設計監理費とは建築設計や工事監理に必要な費用を指し、建物の大きさや建築費などを基に費用が算出されます。一般的には、建築費の10%程度が目安です。

建築設計費用は、建物の大きさや請け負う設計会社などによって大きく異なるので、一概にはいえません。

工事監理費用は工事を問題なく進めるためにかかる費用で、工事責任者の人件費や検査、立ち会いの費用です。工事監理費も、家の規模や建築会社によって異なります。

注文住宅の諸費用の内訳3.住宅ローン関連

ここでは、住宅ローンを利用する場合にかかる諸費用を6点挙げました。

  • 住宅ローン契約時の印紙税
  • ローン保証料
  • 団体信用生命保険料
  • 火災保険料・地震保険料
  • 登記費用
  • 融資手数料

上記を詳しく解説します。

住宅ローン契約時の印紙税

住宅ローン契約時に締結する契約書に対して、印紙税がかかります。

住宅ローンを利用する場合、金融機関と金銭消費貸借契約を締結する必要があります。

土地の売買契約書同様、この契約書には印紙の貼付が必要です。

先述した通り、住宅ローンで借りる金額によって貼付する印紙が異なります。一般的な借入額である1,000万円〜5,000万円程度の住宅ローンを利用する場合、印紙代は2万円程度です。

ローン保証料

住宅ローンを利用する際は保証会社への加入を求められる場合があり、保証会社に対してローン保証料を支払う必要があります。

万が一住宅ローンが滞納された場合、保証会社が契約者の代わりに金融機関へローンを支払い、その後保証会社が契約者に請求します。

保証料は、100万円あたり2万円前後かかると考えておきましょう。

団体信用生命保険料

団体信用生命保険(団信)に加入する場合は、その保険料がかかります。

住宅ローンの返済は長期間にわたります。長期間の返済中に住宅ローンの契約者が亡くなったり働けなくなるほどの重病を患ったりする可能性はゼロではありません。

団信に加入していると、返済できなくなったあとの残債が保険金で支払われます。

金融機関によって団信の支払いは異なるので、チェックしておきましょう。

火災保険料・地震保険料

住宅ローンを利用する場合は、条件として火災保険や地震保険への加入を求められることが一般的です。

火災や地震が起こったときに保険金が下りるため、火災保険や地震保険は万が一の備えとして欠かせない保険といえます。

保険金額は、建物の建築価格や保証の範囲によって大きく異なります。

登記費用

住宅ローンを利用する場合、万が一の滞納などに備えて住宅ローン利用で購入する不動産に抵当権が設定されます。抵当権の設定にも費用がかかります。

抵当権とは、住宅ローンの返済が滞ったときに不動産を担保にできる権利です。

住宅ローンの返済ができなくなった場合、担保にされた不動産は競売などにかけられ、落札価格を返済金に充てられます。

抵当権設定費用として、「住宅ローンの借入金×1%」程度の費用がかかります。

融資手数料

住宅ローンを利用する場合、借入する金額に対し融資手数料が必要です。

融資手数料は金融機関によって異なり、定額型と定率型に分けられます。

定額型の場合は7万円前後の費用が必要です。定率型の場合は、「住宅ローンの借入金×2%前後」が発生すると考えておきましょう。

注文住宅の諸費用の内訳4.その他

注文住宅におけるその他の費用として、以下のものが挙げられます。

  • 家具や家電の購入費用
  • 引っ越し費用
  • 仮住まいの費用

これらの費用に関しては、購入する家具や家電の種類、引っ越し先までの距離などによって大きく異なります。

注文住宅にかかる諸費用を実際にシミュレーション

ここからは、条件を設定し注文住宅にかかる諸費用をシミュレーションします。

なお、シミュレーションでは以下を条件としています。

● 土地(130平方メートル):1,000万円

● 建物(100平方メートル):3,000万円

● 頭金:500万円

● 住宅ローン借入額:3,500万円

上記の条件で諸費用をシミュレーションした結果は、以下の表の通りです。

【土地の諸費用】

項目

計算方法

費用

印紙税

2万円

不動産取得税

固定資産税評価額×3%×1/2-控除額

なし

登録免許税

固定資産税評価額×1.5%

14万円

司法書士手数料

 –

5万円

仲介手数料

土地価格×3%+6万円+消費税

39.6万円

 

上記の結果から、土地の諸費用は61.6万円程度かかることがわかりました。

【建物の諸費用】

項目

計算方法

費用

建築確認申請

4万円

ライフライン引き込み工事

60万円

印紙税

2万円

登録免許税

8万円

司法書士手数料

4万円

不動産取得税

(固定資産税評価額-1,200万円)×3%

27万円

上記の結果から、建物の諸費用は105万円程度かかることがわかりました。

【住宅ローンの諸費用】

項目

計算方法

費用

印紙税

2万円

融資手数料

ローン借入額×1%

35万円

ローン保証料

ローン借入額×2%

70万円

火災保険料・地震保険料など

5万円

上記の結果から、住宅ローンの諸費用は112万円程度かかることがわかりました。今回のシミュレーションでは、土地・建物・住宅ローンを合わせると計278.6万円となります。

ただし、上記のシミュレーションはあくまで目安となるので、自分の条件を把握したうえでシミュレーションすることをおすすめします。

注文住宅の諸費用を抑えるコツ4選

ここでは、注文住宅の諸費用を抑えるコツとして以下4点を挙げました。

  • 自分でできることはやっておく
  • 不必要な諸費用を除外する
  • 補助金制度を活用する
  • 住宅ローンを複数の金融機関で比較する

ここからは、上記のコツを詳しく解説します。

自分でできることはやっておく

自分でできることは、なるべく事前にやっておくことで諸費用の節約につながります。

例えば、引っ越しにおいて運べるものは自分たちで対応することで、費用が安く済むでしょう。

また、困難ではあるものの、所有権移転登記などは法務局で手続きすると自分たちで申請できます。

このように、対応できるものは自分たちで完結することで、諸費用の節約につながります。

不必要な諸費用を除外する

諸費用のなかで必要なものと不要なものを分け、不要な諸費用は除外しましょう。

住宅ローンにおいては、フラット35を利用することでローン保証料を抑えられます。また、火災保険や地震保険に関しても、なるべく不要なプランを外すと保険料を抑えられます。

補助金制度を活用する

注文住宅の建築において、ZEH住宅や長期優良住宅など、場合によっては補助金を利用できます。

ただし、地方自治体によって補助金の内容や補助金額などは異なります。地方自治体のホームページなどで、活用できそうな補助金がないかを事前にチェックしましょう。

住宅ローンを複数の金融機関で比較する

住宅ローンの商品は、金融機関によって内容や金利が異なります。

住宅ローンを選ぶとき、自分が最も身近に利用している金融機関の住宅ローンを選択しがちです。しかし、複数の金融機関が提供する商品を比較することで、金利や借入額を抑えられる可能性が高まります。

注文住宅の諸費用の内訳を把握しておこう

注文住宅の取得においてかかる費用は、購入費用や建築費用だけではありません。

ほかにも、さまざまな諸費用があるので諸費用の全体像を把握して、総額がどの程度なのかをしっかり把握しておきましょう。

諸費用の目安がわかると、費用の計画もスムーズにできます。あらかじめ購入条件を設定し、シミュレーションで諸費用の金額を把握することがおすすめです。

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